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zoom RSS 村上春樹「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」

<<   作成日時 : 2009/06/15 16:50   >>

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新作「1Q84」が話題になっています。もう読まれた方もいて、あちこちの

ブログに感想が書かれています

自分はまだ読んでいませんが、そろそろ書店に行こうかなと思っています

今回は村上の小説の中で自分が一番好きな作品、「世界の終わりとハード

ボイルド・ワンダーランド」を取り上げます

この作品を巡って繰り広げられた討論を掲載しているサイトがありますので、

興味のある方は足を運んでください
http://www.geocities.co.jp/Milkyway-Kaigan/1101/sekainoowari1.htm

この作品が提示している「世界の終わり」が何を示唆するものであるかはさ

まざまな意見があります

ただ、20世紀の終わりに登場したこの小説と、人々が漠然と感じていた「世

紀末」や「一つの時代の終わり」という節目が相互に影響し、そこに「世界の

終わり」を読み取ろうとした読者も少なくなかったのではないかと思います

19世紀末、人々は世界の終わり、破滅の到来に恐れおののきパニックに

なる人が大勢いたとの話が残されています。そうした人々の不安も相俟っ

てオカルトめいた怪しげな団体がいくつも登場し、多く賛同者を集めました

話を戻します

自分はこの作品を「個人の喪失」や「世界の崩壊」あるいは「世界破滅」の

物語としてではなく、「個の再生」の話であり、「個人と世界との関係を再発

見」する物語として読みました

言語学者フェルディナン・ド・ソシュールは言葉を物の名称ではなく、概念を

切り分けるための道具だと考えました

つまり「犬」という名称を与えることで哺乳動物の中に「犬」という概念が生ま

れ、他の動物との違いが確立するわけです

人間の存在も社会の中で、他者との関係によって位置付けられています

A君のママ、Bさんの夫、C会社の課長、Dさんの隣に住んでいる人、という

具合です

もしC会社が潰れてしまったり、会社から解雇されてしまったなら自分の帰

属を失い、社会の中で自分を位置づけていた関係が失われてしまうわけ

です

他者と関係付けられなくなっり、個として放り出される自分とは何者なので

しょうか?

帰属とは帰るべき場所なのですが、帰るべき場所を失った人間はどこへ

向かい、どこへたどり着けばよいのか。そんな問いがこの小説を形作って

いるのだと思います

村上春樹の小説では、しばしば人の関係が失われ(自殺であったり失踪

であったり)、主人公は個として放り出されます。その繰り返しは結局、自

分は何者であるのかという根源的な問いなのだろうと考えるのです

さて、新作の方も「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」のよう

に二つの物語世界が絡み合って語られるものだそうですが、どのような話

になっているのでしょう。楽しみです

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新潮社
村上 春樹

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