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zoom RSS 奈良同級生殺人を考える 4

<<   作成日時 : 2009/08/06 08:55   >>

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前に紹介したミケル・ボルク・ヤコブセンの「ラカンの思想」(法政大学出版局)に、

同性愛者が攻撃衝動に駆られる背景を説明している箇所がありましたので取り

上げてみます

ラカンはパラノイアの自己懲罰的性格という概念を提起しており、いわば道徳的

マゾヒズムとも表現すべき病理がそこに存在するのだと主張します

現在はパラノイアという名称はほとんど使われません。昨今の診断基準からす

れば「人格障害」とされるべきものでしょう

断っておきますが、奈良県で同級生を刺殺した高校生が同性愛者だと断定する

ものではありません

しかし、その道徳的マゾヒズムによる攻撃衝動の説明では、同性愛者であろうと

なかろうと基底にある行動原理に変わりはないのだ、とヤコブセンは説明してい

ます


つまり、他者とのまさに社会的関係とは、別の私自身との関係であって、同性愛
的な似たものが問題であるにせよ、あるいは同一化のモデルが問題であるにせ
よ、またナルシシズム的反映像が問題であるにせよ、あるいは取り込みの「対象」
が問題であるにせよ、そのことに変わりはない、と。(「ラカンの思想」47p)


要するに、対象となる人物(昔からの友人である高校の同級生)に同性愛的な愛

着を抱いているにせよ、対象となる人物に理想的自我を反映させているにせよ

(ナルシシズム)、これを罰し制裁を加えたいとの衝動に駆り立てられ、その攻撃

によって自らを罰しようとするのが道徳的マゾヒズムであり、それは多かれ少な

かれ、誰にでも共通するものだというのです

過剰な攻撃性を別にすれば、こどもが社会の規範を受け入れ、それに従って行

動しようとする社会の原理と同じものだとラカンは考えます

フロイトは論文「嫉妬、パラノイア、同性愛に関する二、三の神経症的機制につ

いて」の中で、兄弟のライバル関係がやがて変化し同性愛的な関係へと変化す

る例について言及しており、兄弟関係を「幼馴染の友人」に置き換えることは可

能です

兄弟間の嫉妬や敵意といった攻撃的な情動が社会規範の受容によって変化し、

抑圧され、反動形成として同一化の感情(愛着)が生まれるのであるなら、その

逆もあると考えられます

何らかの原因によって同一化の感情が壊れたなら、抑圧されていた攻撃的な

衝動が噴出し、相手に襲い掛かるのだと

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