夾竹桃日記

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zoom RSS 奈良同級生殺人を考える 5

<<   作成日時 : 2009/08/21 18:52   >>

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奈良家庭裁判所は事件を検察官送致にすると決定しました。付添人が申し立て

ていた精神鑑定は不要と判断しています
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/event/trial/291354/

事件は改めて奈良地方裁判所で裁かれることになります。裁判員の加わるよう

すが、さてどうなるのでしょうか?

弁護側としては「動機に不明な点がある」と、再び精神鑑定を求めると思われま

す。殺人に至った経緯を被告人である少年自身が詳細に語らなければ、弁護し

て情状酌量を求めるのが難しいからでもあります

これまでにも述べてきたように、殺人を実行するまでに至った経緯を本人が理路

整然と語るのはほとんど不可能です。火曜サスペンス劇場では必ずラストシーン

で犯人が犯行を決意した理由・背景について長々と語るのですが、現実としては

ありえません

検察側の立証がどうなるのかはわかりませんが、裁判員を納得させられるだけ

の供述を被告から引き出せていないなら、動機部分についてはかなりあいまいな

表現になってしまうと思われます

「腹が立ったから刺した。殺してやろうと思った」と検察官が説明しても、裁判員が

それで納得するかは不明です

逆に精神鑑定を実施しても、精神医学用語の羅列で埋まった鑑定書を裁判員が

理解できるとは思えません

再びミケル・ボルク・ヤコブセンの「ラカンの思想」を引用しますと、237ページから

238ページにかけてブロイアーとフロイトによるヒステリー患者の例を取り上げて

います

なぜヒステリー患者が治癒したのか?

ヤコブセンは以下のように記述します

重要だったのは、ヒステリー患者達が何であれ何事かを意識的に把握したという
ことではなく(それというのもまた、ラカンが記している通り、彼女達は催眠状態で
絵空事を語ったからである)、そうではなくてただ、彼女達が、自らの個人的神話
の叙事詩を「物語り」、「言語化し」、そうして医師の中に具現された集団によって
この叙事詩を承認させた、ということである。したがって、この信託者、吟遊詩人
の言葉の中には、現実的なものは何もない。

本件の被告人である少年をヒステリー患者だと断定するつもりは毛頭ありません

が、犯行当時に何を思い、何を考え、何を感じていたかを供述したとしても、それ

は後日再構成された「叙事詩」にすぎず、事実とは異なるものでしかありません

精神分析の場では当然、そうした神経症者の語る虚構の物語を虚構として受け

止め解釈します。虚構だから嘘であり無意味だというのではなく、虚構だからこそ

十分な意味があると考えるのです

しかし裁判の場は違います。虚構の物語を前に裁判員は戸惑い、途方に暮れる

のではないでしょうか?

さて、裁判所はどう対応するのか、今後も裁判の進行に注目していきたいと思い

ます

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土本 武司

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