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zoom RSS 朝日新聞に掲載された木嶋佳苗の手記 その3

<<   作成日時 : 2012/04/27 09:22   >>

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朝日新聞デジタル版に掲載された木嶋佳苗の手記を紹介する3本目の記事になり

ます

一般的には手記に書かれた内容を吟味し、検討し、そこに木嶋佳苗の本音がどう反

映されているかを考察するのが順当な方法でしょう

しかし、精神分析の場合は語られた話よりもむしろ語られなかった話に着目し、検討

する方法が取られます

ですから精神分析の立場からすれば、木嶋佳苗の手記は事件への言及を避けたす

かすかの抜け殻みたいなものであり、語られた内容に汲むべきところはほとんどない

に等しいと言わざるを得ません

これだけ空疎な長文の手記をしたため、何かを表現したつもりになっている木嶋佳苗

という女性は、やはり尋常ではないと感じます

今回は手記の2番目、自らの生い立ちについて言及したものを紹介し、そこに書かれ

ていない重要な問題について検討します


「長女である私だけが特異な存在」木嶋被告手記 2
 2年半の勾留生活では様々なことを考えました。折々の心境の変化もありました。
私の故郷である北海道に、報道陣が大挙して取材合戦を行い、マスコミを賑(にぎ)わ
せた時でさえ、私の子供時代について正確に把握した人は皆無でした。
 私は子供の頃から、誰に対しても深いところまで心や意識を開いてなかったので、他
人にわかるはずがありません。常に期待に応えることに必死になって生きてきて、私
には伸びやかな子供時代がなかったように思います。私の成育環境についても多くの
質問が寄せられました。多分、木嶋佳苗の成り立ちのようなものに興味を持つのでしょ
う。
 弁護人も家族も、メディアからの取材は一切受けていなかったこともあり、情報が錯
綜(さくそう)していました。審理後に北海道を取材に訪れた記者たちでさえ、いまだに
誤った情報を流し続けていることには嘆息します。結局メディアのインタビューを受ける
人間というのは、私や家族とその程度の関係であったということに他ならず、そのよう
な人から聞き出せるものは、噂話(うわさばなし)の域を出ないのです。
 私の実家は若い頃に大きく改築しましたが、幼い頃暮らした家は、リビングとキッチ
ンに、子供部屋と両親の寝室と父の書斎の3LDKという割に小ぶりなものでした。私
が育った家庭は、お金に困っていることも、有り余っていることもなかったけれど、子供
の教育には惜しみ無くお金を使ってくれました。
 学校では通信教育で学び、複数のお稽古事の教室に通い、高校時代の長い休みに
は、離れた都市のホテルに泊まり込み、大学受験予備校の講習を受けさせてくれまし
た。
 グルメで料理上手な両親のお陰で、当時の田舎では奇跡的に豊かな本物の食生活
でした。父からは読書の楽しみを教わり、新しく購入した本を読み終えたら、父の書斎
に持って行き蔵書印を押して貰(もら)い、父と討論した時間は心の糧となっています。
 読書感想文や作文を書くと、周囲の人たちはとても褒めてくれたし、賞を受けたりした
けど、自分が書く文章を上手だとは思えなくて、作文は苦手でした。私の作文が目立っ
たのは、教師や他の生徒の水準が低かったということであって、的確な批評をしてくれ
たのは父だけでした。
 実家のリビングには大きなソファが置いてあり、私はそこに座って本を読むことが好き
でした。物心ついた頃からあったそのソファは、数年おきに専門業者に依頼し、布地を
張り替えたり修理を重ねて長年使っていました。本格的なオーディオセット、ピアノとチ
ェロとバイオリン、棚に並んだ多くの本とレコードと映画のビデオとLD。鍋や食器、大き
なガスオーブンに調理道具。箪笥(たんす)や食器棚、鞄(かばん)と靴。思い起こすと、
実家にあった印象深いものは、決して華美ではないけれど、そこには質の高い文化が
ありました。
 子供たちの勉強机や椅子、ダイニングテーブルや用途別にしつらえたラックの数々は、
日曜大工が得意な父が作ったものです。4人の子供と両親の6人家族で、明るく賑(に
ぎ)やかな家庭でした。大人になり実家を離れてからも、4人の子供たちが仲良く助け
合って生きてきた絆の強さは、両親の教育の賜物(たまもの)と思います。私の父は、
厳格で繊細で知的な人でした。母は天性の自由人で、家事に関しては天才的なセン
スと技能を発揮していました。
 同じ両親から生まれ一緒に育てられた妹と弟は、至極普通の子供で、天真爛漫(ら
んまん)に成長し、大学に進み、社会人となり働き、結婚して子供を授かり育てるとい
う真っ当な大人になっています。長女である私だけが特異な存在でした。私の場合、
8歳で初潮を迎え、体のフィジカルな成長は10歳でピークとなり、メンタルな面も含め
早熟でした。
 私は両親の教育方針により、テレビ番組を見ない環境で育ちましたので、私の教養
体験のベースは、10代に接した数多くの本と映画と落語とクラシック音楽です。
 中学校を卒業する頃には、一通りの古典文学を読了していました。国内外の様々な
ジャンルの本を選び、取り憑(つ)かれたように本の世界に浸っていましたが、田舎には
私と同じレベルで会話ができる同級生はいなかったのです。父の影響で、小学生の頃
から愛読していた朝日ジャーナルで知った立花隆さんや小倉千加子さんについて論議
するような友人は、いませんでした。
 今回の事件が報道されてから、朝日新聞出版発行の雑誌で小倉さんが、度々私に
ついての記事を書かれていたことは、感慨無量な気持ちで読みました。
 中高生時代は、ビデオやLDで7百本以上の映画を鑑賞してます。早熟故の苦悩と、
幼い時から自分の本源にある魔性の不安定なものに気付いていたことが重なり、それ
を宥(なだ)め、コントロールする努力をしてきました。理性の指示するところと、自分の
中に渦巻く感情が噛(か)み合わない歪(ゆが)みを持て余していたのです。
 私は子供時代に経験したことによって、心の葛藤を抱え、ある時点から普通に生きて
行くことを諦めました。常識的であるか、普通であるか、世間の慣習がどうかといったこ
とにとらわれずに生きてきました。屈折した奇妙な価値観を引きずったまま大人になり、
自由奔放で浮世離れした暮らしがエスカレートし、ファンタジーの世界で生きることに逃
避したのです。
 ある種の男性には熱烈な支持をされ続けてきたので、彼らの存在が私の空洞を埋め
てくれることによって、何とか毎日をやり過ごしてきました。


自らの生い立ちについて語った手記も、おそろしくすかすかの内容です

率直に自らの生い立ちを語る風を装いつつも、そこには重要な話がいくつも抜け落ちて

います

まず母親についての言及が「母は天性の自由人で、家事に関しては天才的なセンスと

技能を発揮していました」とあるだけで、何ら具体的な内容はありません

自由人などと書いていますが、母親は木嶋佳苗にピアノのレッスンを課し、さまざまな

理想を押し付けていた人物です。さらに小遣いは与えずテレビも見せないという教育方

針を貫いたわけで、思春期のこどもならな反発して当然でしょう

実際、木嶋佳苗も母親に対して根深い憎悪の感情を抱いていたと思われますし、彼女

が北海道を出て東京とその近郊での生活に執着したもの、「母親がいる北海道へは絶

対に帰らない」との決意があったからでしょう

しかし、手記では母親との関係にはまったく触れようとしません

自分で触れたくない問題であり、他人からも口出しされたなく問題がそこにはあると考

えられます

さらに父親に対する記述もかなり表面的であり、絵空事のような理想の父親像だけが

語られています。理想ともいえる父親がなぜ自殺しなければならなかったのか、木嶋

佳苗は語ろうとしません

もう一つ加えれば、木嶋佳苗のプライドの由来であり、地元の名士だった祖父の存在

も手記からは抜け落ちています

こうして抜け落ちた部分を指摘すれば、木嶋佳苗が自らの生い立ちを語った手記がす

かすかだと述べた理由が理解していただけるはずです

過去の週刊誌の報道について、木嶋佳苗は単なるうわさ話だと否定しています

が、否定するだけで、早熟だったと書きながら、それ以上の具体的な記述は避けてい

ます

やはり書けない何らかの重大なエピソード(彼女の男性経験)を隠していると推測する

しかありません

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