「上から目線で」

「そんな風に上から目線でモノを言われるのはむかつく」と、中年の女性から言われたりす

る経験が何度かあります

食って掛かられたり、反発されたりも珍しくはありませんが、それを気にしては生きていけま

せん

営業の仕事でも、心理臨床の場でもよくある話で、それも商売のうちです

ひっかかったのは公の、仕事の席で中年の女性からそんな発言が出たからです

自分の言い方、あるいはその内容に問題があったのかと0.5秒くらい考えましたが、おそら

くは「上から目線で言われたくない」とする彼女の側に問題があったのだろうと思います

話の内容如何を問わず、彼女自身が「見下されている」と感じた結果、スイッチが入り上記

の発言になったのでしょう

だからどうするのか、と問われても何も打つべき手はありません。彼女の頭の中に手を突

っ込んで考え方を変えさせる、などという真似はできないからです

新聞の社説を読んでいただければ分かりますが、見事なまでに「上から目線」で書かれて

います。およそ新聞に社説が掲載されるようになって以来、「上から目線」で主張を続けて

きたわけですから、いまさらスタイルの変更は無理でしょう

国語の授業で社説について取り上げていたような記憶がありますが、そこでは「上から目

線」など問題視されませんでした。入学試験の問題でも、「筆者はなぜこのように上から目

線でエラソーなことを書いているのか、考えられる理由をあげなさい」といった出題はない

はずです

仕事で書く文章についても、上司から「おまえが何で上から目線でエラソーなこと書いてい

るんだ?」と咎められる機会はないと思います

およそ公の場では相手が上から目線で何かを語ってもそれを問題視しない、という暗黙

のルールが存在するのかもしれません。発言の態度ではなく、内容が問われるわけです

から

では「上から目線でモノを言われるのはむかつく」との発言が出てくるのは、それが問題

になるのは、どのような場なのでしょうか?

休み時間に休憩室で上司の悪口を言うのはどこの世界でもあり、それが問題視されたり

はしません。「上から目線でモノを言われるのはむかつく」と愚痴るのも、同僚や後輩相手

の会話なら許されているわけです。私的な場での発言である限りは

しかし公の場、部外者を招いた会議のような場で、「上から目線でモノを言われるのはむ

かつく」と発言すれば奇異の目で見られます

発言したその女性は周囲の反応などどこ吹く風という表情で、「言ってやった」とニンマリし

ていました。武勇伝としてあちらこちらで自慢するのかもしれません

「だからあたしが言ってやったのよ。あんたのその、上から目線でモノを言う態度がむかつ

くって」

だからといってホストクラブのように片膝をつき、下から目線でモノを言うべきだとは思いま

せんし、その必要もありません

公の場での議論に参加したいのならその場にふさわしい態度をとるべきであり、できない

人は周囲から「話のできない人間」と見られるだけです

公の場と私的な場で態度を使い分ける術も世の中を渡って行くためには必要であり、それ

ができないと周囲と衝突し軋轢を生じます

「むかつく」と当たり前のように口に出す若者が増えている現状ですから、この先も公私の

切り替えができず職場でさまざまトラブルが発生するのだろうと思います