草食系男子

インターネットでちらちらと見かけた「草食系男子」という表現

草食系男子の代表とされた草なぎクンが飲酒酩酊の挙句、逮捕されてしまいました

これでは草食系男子ではなく、酒乱系男子でしょうか

いや、そもそも誰が「草食系男子」とか「肉食系女子」などと言い始めたのやら

そう思って調べてみました

どうやら雑誌の企画記事と、それに便乗する形で出版された森岡正博著「草食系男子

の恋愛学」がムーブメントを生み出したきっかけのようです

森岡正博は大阪府立大学総合科学部教授で、日本では珍しい独自の哲学的思索を展

開している人物です(多くの哲学系教授は外国の哲学者を翻訳、紹介、受け売りするだ

けが仕事になっています)

森岡正博の「無痛文明論」を興味深く読んだ経験があり、いつかは森岡について取り上

げようと思っていました

ですから「草食系男子の恋愛学」の著者が森岡だというのは意外であり、驚きです

しかし、「無痛文明論」の中で森岡が語っているところから、「草食系男子の恋愛学」へ

とたどりつく道筋は奇異ではなく、自然な道行かもしれません

恋愛の失敗という痛みを回避するため、傷つきたくないからこそ「いい人」というポジシ

ョンを求め、そこにとどまろうとする若者がいるとの考えは納得できるものです

ただ、それが「草食系」だと表現するのは変ですが

現時点では、「草食系男子の恋愛学」そのものは読んでいません。いくつかのウェッブ

サイトでレビューを確認しただけで

アマゾンのレビューには以下のようなコメントがあります
(レビューとして公開されているものでも、安易にコピーするのは駄目なのでしょうね)

だが、はっきり言ってこの本は使えない。
「女性と付き合うためには、心の中の『誠実さ』を、具体的な行動に表して、女性へと届
けるための技術が必要である、ということだ。
私はこれから、そのことを、分かりやすい言葉で説明していきたいと思う」(p.24)
と書いてあるのに、その肝心の技術の説明が貧弱すぎる。まずもって量が少なく、どん
な本にも書いてあることばかりだ。
代わりに女性を思いやるやさしさとは何かということがずっと書かれている。別にそれ自
体は素晴らしいのだが、片思いに苦しむ男はそれ以前のところで立ち尽くしているのだ。
いったい冒頭の能書きは何だったのか?

こうした批判が出るのも当然で、森岡は自分の恋愛体験を語るからです。自分自身の

問題を棚上げせずそれを哲学的思索の土台にする、森岡らしい誠実な方法なのです



しかし、著者自身の限られた恋愛体験を唯一のよりどころにして「恋愛の技術」を語ろ

うとするため、技術論が希薄で物足りないものになってしまうわけです

世の中には「オレ様こそ恋愛の達人」だと豪語している連中がわんさかいますから、そ

んな連中に比べれば学究の徒である森岡の恋愛体験など、オコチャマすぎるのかもし

れません

精神分析の側から考えると、恋愛は単に恋人をゲットしたいという行動ではなく、相手

にそれ以上のものを期待し求める行動です

つまり最初から過剰なまでの理想、情念を相手に託し、ひたすら求めてやまない行動

が恋愛です

惚れてしまえば相手がこの世に二人といない、素晴らしい理想の女性(男性)に見えて

しまうのはこのためです

そして自分の思いをどう伝えようかと悩み、悶々とするのは恋愛という快楽をできるだ

け長く味わうためです。つまり片思いの時間をできるだけ長引かせたいからです

告白してすぐに振られたのでは片思いの時間を味わっていられません。振られて失恋

するのが怖いからいつまでの告白できないのだ、と言われがちですが精神分析の側か

ら見れば事実は逆なのです

告白して思いが届き、恋人同士の関係が成立すればそれはそれで楽しいわけなので

すが、片思いの期間に膨らませた過剰な期待がすべてかなうはずはありません

つまり現実的な男女交際の展開の中で、思い描いていた理想や情念がポロポロと剥

がれ落ちてゆく失意を味わざるを得ないのです

自分が求めていた「何か」が相手の中にないという事実を確かめる時間です

通常は現実検討能力が働くので理想とのギャップを受け入れ、「この人でいいか」と納

得するわけなのですが、納得できずに別れるケースもあります

あるいは理想とのギャップを頑として認めない人もいます

過激なまでにラブラブな二人を演じようとするのはそうした失意を覆い隠し、否定したい

からなのかもしれません

話が草食系男子とはまったく違う方向へ飛んでしまいました

森岡正博について、草食系男子についてはまた別の機会に書きます

草食系男子の恋愛学
メディアファクトリー
森岡正博

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恋愛に挑むまえに読ん ...
指南書というよりは… ...
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無痛文明論
トランスビュー
森岡 正博

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空回り著者自身の思い ...
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