早く元気になってください

阪神淡路大震災の折には被災した方に対し、カウンセリングや絵画療法などさまざまな

手当てが試みられました

取り組みが十分であったかどうかは個別に検証されなければなりませんが、わが国とし

ては画期的な対応であったろうと思います

さて先日も書きましたが、親しい人を亡くした場合、精神分析では「喪の作業」が十分に

行われないと神経症によるさまざまな症状が現れると考えます

タイトルにある「早く元気になってください」は、お見舞いや激励で当たり前のように使わ

れることばです。ただ、励ます側の気持ちはともかく、親しい人を失ったり長年住み慣れ

た家を失った人に、「早く元気になって」と言っても無理があります

「喪の作業には十分時間をかけるべきだ」とフロイトは指摘します

それは失われたもの一つ一つ、あるいは失った人についてのさまざまな思いを拾い上

げ、検討を加え、吟味し、現実に照らしてそれがもう取り戻せないのだと自分に納得さ

せる作業です。こうした作業は三日や四日で終わるものではありません

「早く元気になって」との要請が、喪の作業を早々に打ち切れという命令になってしまわ

ないかと懸念されます

喪の作業が十分に完遂されず、未解決の思い残しが放置されたならば再び神経症の

症状が表出するかもしれません

現代社会は何でも早く解決するよう求めます。心理療法もすぐに効果が生じ、問題を解

決するよう求められますが、そんな便利なものではありません

フロイト著作集 第6巻 自我論・不安本能論 (6)
人文書院
フロイト

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