長崎男児殺害事件(2003年)を考える 3

少年は小学3年の時、友人に股(こ)間をけられ、性器からうみが出たことがあり、けがが治った後も消毒するように洗浄剤などを性器にかけ、何度も激痛を味わったりした、と新聞報道にあります
自分のペニスへの攻撃はサディズムか、マゾヒズムかと論じるのはあまり重要ではありません
そうしたペニスへの刺激が少年の中で去勢にまつわるストーリーを編み出す要因になったと思われます
さて、精神分析では当たり前のようにエディプスコンプレックスがどうのこうの、去勢コンプレックスがどうした、といった会話があり、関連する書籍にもこうした表現があふれかえっています
ですから、この事件のようにこどものペニスを切断する事件が起きても意味不明な不快感に襲われたりしません
しかし、いざエディプスコンプレックスや去勢コンプレックスという考えを一般の方に説明するとなると、なかなか難しい作業になります
大まかに言うなら、少年が自分の性を受け入れ「男の子である自分」になるための通過儀礼としてエディプスコンプレックスを克服しなければならないのです
そのためには一度去勢を受け入れ(実際にペニスを切断するわけではありません)、母親との近親相姦願望を断念して父親の権限に従属する、というかたちをとるのだ、と精神分析では考えます
去勢コンプレックスについてフロイトの理論と、それに続くカランの理論には違いがあるのですが、詳細は触れないでおきます
母親との近親相姦願望の断念により少年は他の異性を恋愛の対象として選び、いわゆる正常な発達へと進むわけです
何らかの理由で近親相姦願望を断念できず、これに執着する場合にサディズムやマゾヒズムといった倒錯した欲望が芽生えます
少年の場合、近親相姦願望を捨てるべき時期にあってそれを断念できずに執着を抱き続け、その欲望に対する罰として去勢にさらされるというストーリーを生み出したのではないか、と考えるのです
この場合の去勢は性交を置き換えたものでり、性的な興奮を伴う儀式としてさまざまに脚色され、幻想を織り込んだものになっていたのでしょう

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