高校の授業料無償化に思う

民主党が政権公約に掲げた「高校授業料の実質無償化」について、文部科学省は、対象となる約330万人分の授業料を都道府県などを通じ交付する「間接方式」とすることで民主党側と調整に入ったと報道されています


年間に必要とされる予算は4500億円に達します
これを結構な話だと歓迎する人は多いのだろうと思いますが、本当にそうなのでしょうか。タダで高校教育が受けられるとなれば、その価値が薄れてしまうように感じられますし、小学校や中学校のような学級崩壊が高校にも及ぶ危険があるのではないかと懸念します
つまり高校に通って学ぶ価値までタダ(無価値)になってしまうのではないか、と
高校への進学率はどの都道府県も9割を越えており、世間的には「高校を出ているのが当たり前」になっています
しかし、この現実そのものに大きな齟齬が存在します
中学校までの義務教育を履修したとしても、その学習内容を習得できるこどもは9割はいません。掛け算が分からなかったり分数計算ができないこどもが必ず存在します
バラエティ番組「クイズ・ヘキサゴン」で出題される計算問題に珍妙な回答をするおバカタレントが人気を集めていますが、どこの中学にも同程度の生徒がいます
つまり、中学卒業者の9割が高校へ進学すること自体無理があり、高校の授業についていけない者が出るのは当然です
高校生活に適応できない生徒の相談を受けた経験がありますが、彼には軽い知的障害があり小学校5年生程度の学力しかないと判明しました
しかし両親は「せめて高校くらいは卒業してほしい」と進学を望み、定員割れの農業高校に合格したのです
ですが、高校の授業は彼にとって難しすぎ、教室の中で授業時間じっとしているのは苦痛でしかありません
両親は「毎日高校へ通い、授業を受けて、その中で一つでも二つでも覚えることがあれば勉強になる」と彼を励まし続けたのですが、それは高校教育本来の姿から遠く離れたものでしかありません
結局はいじめ、不登校、家庭内暴力というコースをたどる展開に陥りました
親の期待は分かりますが、高校の授業についていけるこどもは中学卒業者のうち7割もいないと推測します。9割の高校進学率は社会の幻想に支えられた虚構であると言うべきでしょう
まったく理解できない高校の授業に3年間出席するよりも、能力に応じた職業訓練を受けた方が本人のためでは、と思うのです