島根女子大生遺棄事件を考える 10 フェティシズム

被害者女性の靴が学生寮近くの道で発見されたと報じられています


記事には「浜田市内にあるバイト先から寮に帰宅する途中の道路沿いだった」と書かれているだけなので、詳しい状況は不明です
警察は学生寮につながる道とその周辺は徹底的に捜索し、遺留品を探したはずです
今になって靴が発見されるのは不可解です。捜索の際に見落としたのか、あるいは犯人が捜査をかく乱するため後日、靴を置いたのか?
靴が発見された場所が被害者女性の拉致された場所(車で連れ去られる際に靴が脱げた)とも考えられますが、断定はできません
もしそうであるなら靴は路上かその近くに落ちていたはずで、偶然に脱げた靴が道路から離れた木々の中に落ちていたなら不自然です
さて、捜査の進展をにらみつつ、事件について考えていきましょう
これまで犯人のサディズムについて触れてきたのですが、厳密に言うならサディズムと表現するよりフェティシズムと表現した方が適切かもしれません
フロイトはフェティシズムを、男性における去勢コンプレックス克服の過程で倒錯的な嗜好への執着が生じたもの、と考えました
男性が女性のヌードに興味を持ち、執着するのは女性にペニスがないのを繰り返し確認せずにはいられないからだ、と精神分析では考えます
つまり男性は去勢の恐怖に脅えるとともに、去勢という行為に羨望や倒錯した快楽をも見出すのです
今回の事件で遺体から乳房や性器を切り取るという行動は、まさに去勢そのものです
もちろん女性にはペニスがないのですから、女性としての象徴である乳房、性器を切り取ることで去勢を実行したと言えるのです
ですが犯人が被害者に対して行った去勢は、同時に自らの肉体に向けて行ったとも言えるのです。つまり、犯人は自分でそうとは気がつかないまま去勢コンプレックスに苛まれ(同時にそれが快楽でもあります)、自らを去勢したいと欲望しその実行に踏み切ったとも考えられるのです
ですが、それは女性化したいという願望とは異なります。あくまで去勢(ペニスをちょん切る)という嗜虐的な行為への固着だろうと思うのです
性倒錯は一見、不可解でちぐはぐな行為に見えるのですが、本人なりに筋の通った設定・展開の中で遂行される行為(内的な物語と表現してきました)です
ですから乳房や性器を切り取るという行為も、「異常」と決め付けるだけでは何の意味も見出せないのです
この事件については以下の通り、取り上げてきました

島根女子大生遺棄事件を考える 1
島根女子大生遺棄事件を考える 2
島根女子大生遺棄事件を考える 3
島根女子大生遺棄事件を考える 4
島根女子大生遺棄事件を考える 5
島根女子大生遺棄事件を考える 6
島根女子大生遺棄事件を考える 7「羊たちの沈黙」
島根女子大生遺棄事件を考える 8「次の犯行」
島根女子大生遺棄事件を考える 9 「死と快楽」
島根女子大生遺棄事件を考える11 事件の相違点
島根女子大生遺棄事件を考える12 殺人者の語り


性倒錯の構造―フロイト/ラカンの分析理論
青土社
藤田 博史

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