島根女子大生遺棄事件を考える29 思い込みの誤り

手許にある本「アメリカ犯罪科学捜査室」(廣済堂)をパラパラとめくりつつ読んでいたのですが、先入観あるいは予断、思い込みというのはいかに危険なのか、と思ったので書きます
島根女子大生遺棄事件で、犯人は20代の若い男性でおそらくは独身だろうとの見方があります(自分も犯人は20代から30代の男性であり、独身だと考えます)
しかしアメリカの連続殺人事件を見ると、犯人は恋人と長年同棲していたり(テッド・バンディ)、結婚してこどもがいた(ボストンの絞殺魔アルバート・デサルボ)というケースもあります
つまり連続殺人を起こすような犯人は自由気ままな独身生活者に違いない、という先入観は時に大間違いになる、という一例です
上記の本では殺人者を「衝動的殺人」や「計画的殺人」など幾つかのタイプに分けて記述していますが、それでも「衝動的殺人」者が「計画的殺人」に移行するケースもあると書いており、その区分は極めてあいまいです
あるいは19世紀ロンドンの殺人者、切り裂きジャックを「衝動的殺人」であると指摘しているのも不可解です。街頭に立つ売春婦を狙った犯行は十分に計画的なものだと思えるのですが
さらに切り裂きジャックは被害者の内臓を抜き取っており、これを衝動的殺人と呼ぶのは疑問です。遺体を解体する場所、使用する刃物など準備がなければできない犯行ですから(だから島根の事件は切り裂きジャックを真似たものだ、などと言うつもりはありません)
つまり「衝動的殺人」あるいは「計画的殺人」などという枠組みを設け、そこに当てはめて語ろうとする行為自体に無理があるように思います
殺人事件を幾つかのパターンに類別し、それぞれの犯人の特徴を統計的に導き出す方法も有益だとは思いますが、そこにはかならず例外があります
今回の事件の犯人が40代の既婚男性であったとしても不思議はないのです
卑近な例を挙げると教師による性犯罪が毎日のように報道されていますが、逮捕される教師が性欲旺盛な20代の若者であるとは限りません。40代、50代の教師もわいせつ事件で逮捕されているのが現実です
それでも目下のところ、犯人が40代あるいは50代の既婚男性であると示唆する物証はありませんので、「犯人は20代から30代の独身男性で、サディズムとマゾヒズムの交錯した幻想を抱えている人物」だとする考えを変更するつもりはありませんが
この事件についてはブログで取り上げた数も増えましたので、直近のリンクだけ掲げておきます

島根女子大生遺棄事件を考える24 犯人の自己顕示欲
島根女子大生遺棄事件を考える25 むき出しの欲望
島根女子大生遺棄事件を考える26 捜査員・ブロガーの見解だ
島根女子大生遺棄事件を考える27 犯人はいま
島根女子大生遺棄事件を考える28 劇場型犯罪
島根女子大生遺棄事件を考える30 犯人家族の苦悩
島根女子大生遺棄事件を考える31 屍姦という行為
島根女子大生遺棄事件を考える32 情報の整理を

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