「攻撃と殺人の精神分析」を読む

現在、片田珠美著「攻撃と殺人の精神分析」(トランスビュー刊)を読んでいます
著者は大阪大、京都大大学院で精神医学を学んだ後、フランスにあるパリ第8大学で精神分析を学んだ人物です。パリ第8大学というのはラカン派の精神分析の総本山のようなところです
したがって、本の中身もラカン派の分析理論が中心ですから、殺人事件に対する見識も当ブログで自分が開陳しているところと似ています
というわけで、自分にとっては目新しい部分はあまりないのです
しかし、決して退屈な本ではなく、第2章に置かれたフランスでの連続殺人犯のケース紹介(60ページにも及びます)だけでも十分に読む価値があると言えるでしょう
もちろん一般向けとは言いがたいのですが、それでもラカン派の精神分析の技法を扱った専門書に比べればはるかに読みやすく、とっつきやすいでしょう
フランスの精神分析家ジャック・ラカンの論文集「エクリ」は、およそ「人間の読む本ではない」と言われるくらい難解で有名であり、とても人に薦められるようなシロモノではありません
それに比べれば、この「攻撃と殺人の精神分析」は精神分析とは何かを知らない方にでも読んでもらえる内容であり文章です
日本では精神分析はマイナーな存在であり、同時に誤解や偏見にさらされている状況でもありますが、決して奇妙奇天烈な理論ではありません。
あるいは、ジル・ドゥルーズとフェリックス・ガタリによる精神分析批判の書「アンチ・オイディプス」が出版されて以降、「精神分析などとっくの昔に否定された古臭い考え」だとする意見があるのも事実ですが、それでも精神分析はその存在意義を失ってはいないと自分は思っています
「アンチ・オイディプス」については後日、取り上げたいと思っていますが、少しだけ言及しておきます
読書家である松岡正剛も「アンチ・オイディプス」を取り上げていますが、これを読むと精神分析やフロイトに対する理解は残念ながら相当に低いと言わざるをえません


「総じてフロイト心理学というものは、無意識がうまくコントロールされずに外にはみ出してしまった心理現象をもって、これを精神病と規定した学問である」と松岡正剛は書いているのですが、フロイトが精神分析の対象としたのは神経症であって、精神病ではありません
こうした根幹の部分で誤解があるわけですから、議論が成り立ちそうにありません
話を戻しましょう。精神分析が犯罪者の心理を読み解くのに有効かどうかは議論のあるところです(その見解が検証可能かどうか、という点で)
一つの仮説を提供する手段としては有効だろうと自分は思います
ですが、犯罪者の改善・更生に役立つかどうかはまた別の問題です
神経症の治療モデルとして考案された精神分析は、もともと犯罪者の改善や更生を視野に置いたものではありません
すべての犯罪者が神経症的な葛藤を抱えているわけではなく、改善や更生にまったく意欲を示さない者も多くいます。そうした対象者を相手に有効な取り組みはできません
さて、非常に散漫な内容になってしまいました(何を言いたいのやら)
日記の余白の落書きだと思って容赦ください
本書、「攻撃と殺人の精神分析」はこども殺しや母親殺しのケースについても触れていますので、そちらの部分については後日、具体的な事件を例に語りたいと思います

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