「日本の学問は『心の鎖国』で衰退」という主張

少し前、日本からハーバード大学への留学生が激減した、との話題が報じられていました

社会学者の加藤秀俊も産経新聞のウェッブサイトに「日本の学問は『心の鎖国』で衰退」

というコラムを書いており、その中で「昨年秋現在、ハーバード大学に在籍中の留学生の

数をみると中国500人、韓国300人、インド250人。それに対して日本人留学生は90

人」だと数字を挙げています
http://sankei.jp.msn.com/culture/academic/100709/acd1007090258001-n1.htm

こうした数字からはさまざまなことが言えます。「日本の学問の衰退だ」との指摘もできる

でしょう

ただ、欧米の大学に大勢の留学生を送り込むことが本当に「素晴らしいこと」なのかどう

かは疑問です

たとえば社会学を学ぶため外国の大学へ留学しても、その後日本国内で職が得られる

かどうかは定かでありません

地方の無名大学の講師の口にでもありつければましな方でしょう

そうした社会の受け皿の脆弱さを無視して、「最近の若者はだらしない。もっと旺盛な探

究心や競争心を抱いて欧米の大学へ留学すべきだ」と言っても、虚しく響きます

こうした「先が見えてしまう」状況にあっては、潤沢な奨学金でも与えられない限り、積極

的に海外へ留学しようとはしないのも当然です

もちろん日本であれ外国であれ、大学院を出たからといって自動的に大学の教員にな

れるわけではなく、熾烈な競争があるわけです

言い換えるなら、一握りの優秀な研究者や教員を輩出するためには数百人もの人間が

競い合い切磋琢磨しなけれならないのです。一握りの優秀な研究者にはしかるべきポ

ストが与えられますが、競争に負け切り捨てられた人間はどうなるのでしょうか?

「野垂れ死にしても仕方がない」という扱いは酷です

あるいは、「全員を公務員待遇で国が丸抱えせよ」と社会主義国みたいな扱いをすべき

だとも思いません

「心の鎖国」がどうのと論じる前に、現実的な問題として社会の受け皿を検討し、人的資

源として活かす方法を考えるべきでしょう

石油や石炭が限り有る資源であるように、人間も限り有る資源です

競争も大切ですが、人を大切にしない企業や国はやがて滅びる、と思います

留学生活を扱った本はいろいろありますが、阿川尚之著「アメリカン・ロイヤーの誕生」

は読んでみて面白かった1冊です。アメリカのロースクールの仕組みがよく分かりますし、

本書で紹介されているレポートのまとめ方は役に立ちました

予め項目を立て、書くべき事柄を列挙し、整理してからレポートにまとめるという方法で

す。こうして論旨が整理されたレポートを書かなければロースクールでは評価もされず、

読んでももらえないそうです

ブログを書くときもそのように論旨を整理してからかからないとダメですね


アメリカン・ロイヤーの誕生―ジョージタウン・ロー・スクール留学記 (中公新書)
中央公論社
阿川 尚之

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米国大学院留学を希望 ...
アメリカ法律社会に潜 ...
ちょっと古いですが良 ...
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