第143回芥川賞・直木賞 選考の内幕

第143回の芥川賞と直木賞の選考結果については先に触れたとおりですが、産経新聞が今回の選考の内幕を記事にしているので紹介します


芥川賞は候補作品が5つあったわけですが、ふるい落とされていく過程が生々しく語られており、興味深く読みました
選考委員の1人である小川洋子が取材に応じて語ったようですが、選考結果が公表された後であれば、選考の様子を明かすのは問題ないという扱いなのでしょう

小川氏は受賞作を「『アンネ・フランクを密告したのは誰か』という歴史的問題を小説の中に取り込み、個人のアイデンティティーの問題として答えを出そうとした。自分が自分であるとはどういうことかという文学的な問題に着目し、アンネの日記という題材を生かし切った」と称賛した。

こう書かれると、「へえー」と思い読んでみたくなります
選考の経緯を明らかにするのも賞の宣伝、受賞作品の宣伝として有効なのでしょう
直木賞の選考の様子は林真理子が語っているようです

中島さんの受賞作『小さいおうち』について、林さんは「戦前の中産階級の家庭を、いきいきと描き出している。筆力も申し分なく、何より登場人物が非常にリアル」と称賛。膨大な資料をうまく咀嚼(そしゃく)している点も、高く評価されたという。

これでは作品の魅力が伝わってきません。三行で作品の魅力、価値、賞を与えた理由を表現しろと要求するのは酷かもしれませんが、表現力から言えば小川洋子の方が的確であり、林真理子より優れているとも言えます
自分が期待をした冲方丁(うぶかた・とう)の「天地明察」については、「非常に好感が持てるいい小説」だが、「スピード感が荒っぽさにもつながっている。非常に才能のある新人だから、もう一作見てみたい」と、想定されたとおりの評価でした
ベテランである姫野カオルコの「リアル・シンデレラ」は、「一部の委員が熱烈に推したものの、作品に破綻があるとの意見もあった」と、賛否両論に分かれたまま受賞を逸したとありますから、ベテラン作家の候補作にしては厳しい評価だったようです
なお、別の記事で林真理子が「候補作が小粒すぎ」と苦言を呈していますが、それよりも候補作品の選定の理由・根拠が不明確だとする指摘は重要でしょう


直木賞の候補作は事務方(編集者?)が半年分の話題作、注目作から選ぶのでしょうが、なぜこの人のこの作品が候補作なのかはまったく説明がなく、選考委員も戸惑う場合があるようです
長い歴史のある直木賞ですらそんな程度なのか、と逆に驚かされます

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