奈良同級生殺人を考える 6 広汎性発達障害

横浜の清心女子高で起きた同級生刺傷事件の方は取り調べが難航しているのか、続報がありません
この事件の報道を耳にしたとき、頭に浮かんだのが昨年奈良県で起きた高校生による同級生刺殺事件です
逮捕された男子高校生について鑑定留置(精神鑑定)が実施されるとの記事を見て以降、報道されないままになっていたので当ブログでも宙に浮いたままになっていました
今年の6月15日付け報道によれば、精神鑑定の結果「広汎性発達障害により犯行当時、責任能力が減損していた」とする見解がしめされたとあります


最近の刑事事件の精神鑑定では被告の「広汎性発達障害」を認める一方で、「犯行時の責任能力に問題はなかった」とする見解が散見されます
もちろん、個別のケースごとに判断しているわけですから、「広汎性発達障害でも責任能力が欠如しているとは言えない」という暗黙の了解が存在しているのではありません
今回の男子高校生がどんな状態であったのか詳細は不明ですが、責任能力の減衰を示すエピソード、言動があったのでしょう
被害者遺族と学校側は話し合いを進め、和解が成立しているとあります


遺族側の「これからはこのようなことが二度と起こらない学校になってもらいたいと思います」との切実な思いは理解できますが、学校側が具体的な対策を講じるのは不可能ではないでしょうか?
「教師が生徒の心情把握に努める」といっても限界があります
もし今回の事件が「広汎性発達障害」の生徒が、何らかの理由により被害者生徒への特異な妄想を抱き、「彼を攻撃しなければならない」とか「刺し殺しても構わない」との強迫的衝動に駆り立てられていたのなら、学校側に対処する手段はありません
もし対策があるとするならば、入学試験の時に徹底した心理検査や精神医学的診断を実施し、少しでも「広汎性発達傷害」の可能性のある受験生を全員不合格にして排除するしかありません
そんなやり方が日本で認められるかどうか、疑問です
誤解をされると困るので明記しておきますが、「広汎性発達障害」とされる人の中でこのような凶悪犯罪に走るケースは稀であり、決して多くありません
一般的な傷害事件、殺人事件の犯人の大多数は「広汎性発達傷害」ではない、健常者によるものです(もちろん人格の偏りや、情緒不安定など個別に抱える負因は大小あるわけですが)
さらに言うまでもありませんが、「広汎性発達障害」だからと診断されても、それが犯行へ駆り立てた衝動を意味するものではありませんし、解き明かしたことにもなりません
彼の心の内奥で何が起きていたかを明らかにしなければ、この事件の意味は見えてこないのです

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