秋葉原17人殺傷事件を考える10 「加藤よ、裏切ったな」

秋葉原で17人もの人を殺傷した加藤智大被告について、10回目の言及です
加藤智大被告を英雄視してきた女性が公判を傍聴するうちに、自分の思い描いていた人物像との違いに戸惑い、失望していると週刊誌「AERA」が書いています


「派遣切り」、「ブサイクで彼女がいない」といった報道されるイメージだけで加藤智大に親近感を覚え、彼を崇拝したり「革命家」と賞賛する人たちが一部にはいたのですが、「AERA」の記事に登場する女性もその中の1人でしょう
結果的に加藤智大被告は「派遣切りに遭ったのが犯行の動機ではない」と否定し、「掲示板を荒らす人にそれを止めてもらいたかったからだ」と語っています
加藤被告の犯行は当初、不安定な雇用に翻弄される若者の怒りを代弁したものとして報道するメディアもあったのですが、そうではなかったというわけです
加藤被告の言動についてはこれまでにも再三論じてきましたので、今回は「AERA」の記事に沿って加藤被告に入れ込む人たちについて考えます
加藤被告に共感した人というのは、何らかの形で不遇な現在を生きている人なのでしょう
そしてその不遇な今を親や学校、社会のせいだと考えている人です
もちろん個々人にそれぞれ事情があり、理由があってそう考えるに至ったのでしょう
そんな彼ら、彼女らは自分たちと同じ痛みを加藤被告も抱えているに違いないと信じ、そうであって欲しいと切望していたのかもしれません
「AERA」の記事に登場する女性は厳格なプロテスタントの両親によって育てられたとありますが、彼女の家庭生活は信仰に裏打ちされた生活というよりひどい虐待の連続のように見えます
加藤被告の生い立ちを見ればなるほど母親のひどい虐待を受け、さんざん傷ついてきたと分かります。「自分たちと同じだ」と彼らや彼女らが感じ、親近感を覚えたのは間違いではなったと言えます
しかし、そこから先は話が違います。加藤被告は少ないながらも友人がおり、働いて金を稼ぎ、豊かではないもののそこそこ充実した暮らしを楽しでいたのです。内に抱え込んだ痛みに喘ぎ、苦悩の日々を過ごしていたのではありません
加藤被告に共感し、崇めてきた人たちは、加藤被告に何らかの思いを託すことで自分の気持ちが共有され、加藤被告というイコンを介して自分の存在が他者に理解されると期待していたのでしょうが、そうはならないという現実に直面し途方に暮れているのだと思われます
結局、「AERA」の記事にある女性はこれから自分がどう生べきか、加藤被告から何らかの指針を授かりたいと欲しているのでしょう。それが無差別殺人なのか、自殺なのか、あるいは別の何かであるのか、分かりませんが
自分ならばこのままズルズルと加藤被告にしがみつくより、精神分析を受けることを薦めます

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