ドキュメンタリー「ジブリ 創作のヒミツ」

NHKのドキュメンタリー「ジブリ 創作のヒミツ 宮崎駿と新人監督 葛藤の400日」を観ましたので、その感想などを書きます
スタジオジブリの映画「借りぐらしのアリエッティ」の公開にタイミングを合わせた番宣のようなものかな、と思っていたのですが、なかなかに内容の濃いドキュメンタリーでした
スタジオジブリといえば宮崎駿のワンマン体制とされ、新人に監督を委ねても宮崎駿が横から口出しをしてすべてを決めてしまうと言われます
「ゲド戦記」では息子の宮崎吾朗が監督を務めましたが、その映画の評判はともかく小説「ゲド戦記」の作者からは辛辣な批判を浴びました(しかし、この批判は決して悪意ではなく、原作者としての深い洞察と作品への思いにあふれたものです)
このように監督の仕事というのは実に難しいもので、「アリエッティ」の場合もジブリ内にさまざまな葛藤をもたらしたであろうことは想像がつきます
ドキュメンタリーの中ではあまりそうした生々しい対立、やりとりは出していません。あくまでも新人監督が1人で苦悩し、宮崎駿は口出しをせず我慢するという図式で進みます
そうした扱い方は物事をあまりにキレイに描き過ぎている気もするのですが、NHKとしてはアニメーター同士の怒鳴り合い、殴り合いといった場面は出したくないのでしょうし、スタジオジブリもそんな修羅場をこどもたちに披露したくはなかったのでしょう
それでも演出上のさまざまな問題を解決しようと監督が孤軍奮闘する様は十分に描かれており、このドキュメンタリーの価値を高めていると言えます。作品に極力口出しを避けてきた宮崎駿がアリエッティの芝居に対し、ポツリと疑問を投げかけるのですが、新人監督はその疑問を疎かにせず、自分なりの演出で宮崎の疑問に応えようとする場面など十分に見せ場になっています
新人である米林宏昌監督(37歳)がどう評価されるのか、「借りぐらしのアリエッティ」は日本だけでなく世界各国での公開が予定されています


前に、俳優小栗旬の初監督作品である映画「シュアリー・サムディ」がコケた話をブログで取り上げましたが、このドキュメンタリーは映画の演出(それが実写であれ、アニメーションであれ)はこうやって取り組むのだという1つ見本です
撮影現場の雰囲気やノリで演出を決めるような方法では、まともな映画は作れません
映画マニアやアニメおたくを自負するつもりはまったくありませんが、自分は押井守のファンなので押井守の「演出ノート」や彼の作品の「絵コンテ集」など入手して読んでいます
あるいは押井守と宮崎駿の対談を掲載した本にも目を通していますが、この2人は演出に対する考え方に大きな違いがあり、対談でもかなり激しくやりあっていたりします(それでも仲が良いという不思議な関係です)
話を戻します
久々に良質のドキュメンタリーを観た思いを味わえました(録画しなかったのが残念です。録画しておけば何度か繰り返し楽しめたのに)
ただ、番組のナレーションを広末涼子が務めていたのは謎であり、ぶち壊しです
こうしたドキュメンタリーのナレーションをやれるNHKのアナウンサーは何人もいるはずなのに、なぜ広末涼子の台本棒読みの稚拙なナレーションを許したのでしょうか?
スタジオジブリの質の高い仕事を賞賛するつもりでブログを書き始めたのですが、最後にはこのNHKの謎の演出(広末涼子のナレーション)に苦言を呈さなければなりません

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