アパートに放火した15歳少年 発達障害

大阪池田市のアパートに放火し、住人を焼死させてしまった15歳の少年について3度

目の言及になります

産経新聞が「衝撃事件の核心」として特集を組んでおり、これを参考にします

【衝撃事件の核心】15歳少年が語る「親への恨み」…大阪・池田の放火死傷事件
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/101106/crm1011060700001-n1.htm

放火し、アパートの住人を焼死させてしまったのですが、一般の読者の方は犯人の少年

が事の重大性を理解していない、と訝り怒りを覚えるのではないでしょうか?

その反応はまともな感覚です

この少年はアパートの住人の死に何の関心もなく、感慨も抱いていないのです。自分の

成した行為の重大さも理解しておらず、反省も思い浮かばないはずです

少年は自分の怒りを行動として表現するのにいっぱいいっぱいであり、それ以外のこと

は眼中になかったと思われます

父親に裏切られ、ボロアパートに押し込められた怒りがどれだけのものか、怒りを形に

して父親にぶつけること以外は考えもせず、関心がなかったのです

ですからアパートに住んでいた老女が焼死したと聞かされても、別の宇宙の出来事であ

るかのように無反応でいられるのでしょう

こうした少年の現実感覚の乏しさは発達障害の特徴の1つです

「共感性が乏しい」とか、「感受性が部分的に欠けている」と表現した方が分かりやすい

かもしれません

発達障害の形態はさまざまですが、自分の関心のあることには異常なほど執着し、熱

心である反面、興味や関心のない事象には無頓着であり、歯牙にもかけない態度を示

す場合があります

この事件の少年の発達障害がどのような症状であったのか、記事から憶測するしかあ

りませんが、バランスの悪さと思い込みの激しさが目につきます

根幹には貪欲なまでに父親や母親の愛情を求めてやまない愛情飢渇があると考えられ

ます。しかし、両親は離婚し、父親は少年を持て余し遠ざけようとしました

少年が望む形で、少年が望むような愛情が示されないがゆえに、親子関係は険悪なも

のになったと考えられます(少年の望んだ愛情がどのような形であったのかについては

後で述べます)

記事では素麺が3日続いたため少年の怒りが爆発したと書かれています

食事を与える行為は即ち愛情を与える行為です。少年は素麺が嫌いだから、不満だか

らぶち切れたのではなく、祖母から十分な愛情が得られないと感じたからこそ怒りを爆

発させたのでしょう

愛情を求める欲求が強ければ強いほどそれが与えられない結果への失望は深く、怒

りは大きくなります

通常は精神面の発達(成熟)に応じて、幼児的で一方的な愛情欲求は抑えられ、分別

を身につけるようになるのですが、この少年の場合は学校の成績は良好でも成熟は遅

れ気味であり、ベタベタに父親や母親に甘えていたいとの思いを引きずっていたと推測

されます

例えば母親の乳房を触りたがったり、一緒に寝てくれとせがんだりする行動が思い浮か

びます。15歳の少年がそうした要求をすれば、近親相姦の要求と思われる可能性もあ

ります(父親がそうした懸念を抱いていたのではないか、との仮説を前回書きました)

また、父親に対して少年は一緒にゲームに興じる兄弟のような関係を求めていたのでは

ないか、と推測されます(アパートに放火したとき、愛用のゲーム機は外に持ち出してい

ます)

発達障害の児童の場合、根気良く訓練をして自分本位な欲求をセーブさせたり、怒りを

コントロールする経験を積ませ、体得させる必要があります

しかし、この少年は「学校の成績がよい」という部分にばかり親の関心が向けられ、基本

的な生活の訓練がほとんどされていなかったのではないでしょうか?

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