千葉東金女児殺害事件を考える1 知的障害者の被告

平成20年、千葉県東金市で5歳の女児が殺害された事件が起き、容疑者として藤木諒容疑者が逮捕されました
藤木容疑者は犯行を認めましたが、裁判では弁護側が知的障害を理由に「訴訟能力がない」として公判停止を要求し、さらに「(訴訟能力があったとしても)犯行当時は心神耗弱状態であり、刑事責任は問えない」と主張しています
5歳の女の子が無残にも殺害された事件ですが、被告が知的障害者であるため刑事責任を問えないとなれば、何とも救いようがない結果となります
知的障害者については犯罪の加害者になるより、むしろ被害者になるケースが多いわけですが、しかしだからと言って、今回の事件で刑事責任を一切問わなくてよいのか、と思います
事件の中身については数回に分けて取り上げるつもりですが、今回は事件の概要について書きます
勝木諒被告は事件時、母親と2人暮らしでした。「精神発達遅滞」と診断され、知的障害者に交付される療育手帳では5段階のうち最も軽度な「B2」の判定を受けています。地元の養護学校高等部を卒業後は寝具会社に就職していましたが、事件直前から無断欠勤が続き、事件の前日に退職したことになっています
事件は当時5歳だった成田幸満ちゃんを自宅に誘い、浴槽に沈めて殺害したものです。犯行前、勝木被告は自宅周辺をうろつき、女性に声をかける姿が目撃されていました
幸満ちゃんを自宅に連れ込んだものの、「友達になりたかったが、嫌がられ『帰りたい、ばか』といわれ、腹を立てて犯行に及んだ」(検察側の冒頭陳述)とされます
弁護側は「(勝木被告は)怒りに対するストレス耐性がなく、パニック状態になって殺害してしまった」と述べています
殺害後、勝木被告は幸満ちゃんの衣服を脱がせた上で自宅から100メートルほど離れた路上の側溝の蓋の上に放置し、脱がせた衣類はレジ袋に入れて自宅マンションの駐車場に捨てています
検察側は勝木被告が以上のように証拠隠滅の工作をしているとの理由から、犯行時責任能力は十分に存在したと判断しています
証拠隠滅の工作と言うにはあまりに稚拙な行動ですが、最初から殺害する意図もなく、殺してしまってから慌てて犯行を隠そうとした状況なのだろうと推測されます
そこには「自分が大変なことをしてしまった」との自覚があったのは間違いないでしょう。罪の意識があったからこそ、稚拙な行動ながらも遺体を自宅から離れた場所へ運んだり、衣類を脱がせて被害者が誰であるか特定しにくくする工作をしたと考えられます
さて犯行の動機は部分ですが、勝木被告が十分な説明をできたとは思えませんので、検察側の憶測と作文で構成されている可能性は否めません
知的障害者といえども性欲はありますから、わいせつ目的の意図があった可能性は排除できません。当然、中学生や高校生の女生徒に声をかけたところで相手にされませんので、年少の、抵抗できない幼児を対象として声をかけ誘うわけです
ただ、最初からわいせつ目的だと決め付けるのは危険であり、先入観が事件を読み誤る危険があるのは言うまでもありません
足利事件は無期懲役が確定した後に再審請求により、犯人とされる人物のDNAとは違うと明らかになって無罪となったケースですが、精神鑑定では「代償性小児性愛者」であるとの結論が出されています。鑑定を実施したのは日本における精神鑑定の第一人者である福島章教授ですが、最初から検察側の組み上げた推論に基づき、小児性愛医者による犯行と決めてかかったのが読み誤りの原因ではないか、と考えられます
長くなりましたので、続きはまた書きます

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