市川海老蔵主演「一命」カンヌ参加で飛び交う憶測

殴打事件で無期限謹慎中の市川海老蔵が4月10日、歌舞伎への復帰を表明したのですが、どこのメディアも批判的な論調で伝えました
産経新聞を例に挙げれば、以下のとおりです

(引用元の記事が削除されました)

震災のどさくさに紛れて復帰を図った、との見方です
しかし、今になって考えれば、市川海老蔵主演で三池崇史監督がメガホンをとった映画「一命」がカンヌ映画祭のコンペティション部門にエントリーされるのが確実視されたので、あのタイミングで復帰表明をしたのでしょう(他にもさまざまな事情はあると思われますが)
ZAKZAKは、「市川海老蔵の舞台復帰を目論んだ松竹がカンヌ映画祭関係者に働きかけたので、主演作品がエントリーされたのではないか?」との憶測を否定する記事を載せています

海老蔵の主演映画「一命」カンヌコンペ入りのナゼ

映画祭を成功させるため、関係者はどの監督の作品を集めるか頭を悩ませます
話題になり、注目され、なおかつメディアに取り上げられる作品で、芸術的価値や完成度の高さをもったものをコンペで競わせてこそ、映画祭の格が保たれるわけです
競合する映画祭が幾つもあるため、コンペティション部門にどれだけのラインナップを揃えられるかに映画祭の浮沈がかかっていると言っても過言ではないでしょう
ですから、そこに松竹の思惑が入り込む余地などないのは明らかです
長いカンヌ映画祭の歴史の中で、日本映画は最高の栄誉であるパルムドールを3度手にしていますが、主演男優賞を獲得したのは2004年の映画「誰も知らない」の柳楽優弥だけです
もちろん、市川海老蔵が「一命」で主演男優賞に選ばれるかどうかは分かりませんが、作品がエントリーされて初めてそのチャンスに恵まれるわけです
ですから、「カンヌは映画人のあこがれ。招かれるだけで栄誉なのに、受賞ともなれば、殴打事件で無期限謹慎となったスキャンダルなど一気に過去に吹き飛ぶ可能性がある」との発言も出るのでしょう
もっとも、映画祭の裏にはドロドロの確執があるとの噂は絶えません
前にも書きましたが、1983年にアンドレ・タルコフスキー監督は「ノスタルジア」でカンヌ国際映画祭創造大賞、国際映画批評家賞を受賞しています
このときタルコフスキーは「ノスタルジア」をカンヌに出品させるから大賞を寄越せ、と映画祭事務局に要求したと言われます。タルコフスキーをなだめるため、わざわざ映画創造大賞なるものが作られ、授与されたとも言われています
タルコフスキーが無茶な要求を突きつけたのは、映画祭事務局が某有名監督に「パルムドールを与えるから」と映画祭への出品を了承させるため裏取引を持ちかけた、との噂を耳にしたためとされます
上記のように、映画祭成功のためには有名監督や期待の新人監督の作品をずらりと並べる必要がありますから、そうした裏取引の噂が飛び交っていたのでしょう
そんな裏取引のために審査結果がねじ曲げられるなどタルコフスキーには我慢がならなかったため、わざと映画祭事務局に高飛車な要求を突きつけ、その反応を試したのかもしれません
1983年のカンヌ映画祭では今村昌平監督の「楢山節考」がパルムドールを獲得しています

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