16人殺害の個室ビデオ放火事件 二審も死刑判決

平成20年に大阪市浪速区に個室ビデオ店が放火され、店内にいた客16人が一酸化中毒で死亡する事件がありました
小川和弘被告は事件後、警察から任意同行を求められ放火について自供しているのですが、起訴される前に供述を翻し、無罪を主張するようになります
一審の大阪地裁は小川和弘被告による放火と断定し、「16人を死亡させた責任は極めて重大である」と死刑判決を言い渡しました
小川被告はこの判決を不服として大阪高等裁判所で争っていたのですが、26日の判決公判で大阪高等裁判所も一審の死刑判決を支持し、小川被告の控訴を棄却しています
小川和弘被告はパナソニックの元社員で、リストラ後は定職に就かず生活保護を受けて生活していました
消費者金融にも多額の借金があり、自殺を図るためにビデオ店の個室に放火したものと見られています
任意同行を求められた小川被告は放火について自供し、調書にも署名捺印しているのですが、なぜ途中で供述を翻して無罪を主張するようになったのでしょうか?
小川被告は冤罪だと述べています
おそらく小川被告はビデオ店の個室に放火し、自分が死ぬという事態のみを想定し、大勢の人たちが巻き添えになるという結果の重大さまで考えなかったのでしょう
検察側の起訴状では、「被告はアダルトDVD1本を見て自慰行為をし、通路で他の男性客を見て『なんでこんなとこ、おれおんねん。情けなー』と気がめいった。18室内のソファで横になり『おれは変態ちゃうぞ』と惨めに感じ、家族も財産も失って生活保護を受けた人生を振り返って『ここで死のう』と自殺を考えた。被告は放火して自殺しようと決意した。店内の他の客のことが頭をよぎったが、『おれに巻き込まれて死ぬ人、ごめんなさい』と考えた。そして午前2時55分ごろ、持ち込んだキャリーバッグに部屋のティッシュ約5枚を詰め込み、ライターで火をつけた」としています
火災発生後、出火元と見られる部屋から出てきた小川被告を目撃した客の1人がビデオ店の店員に、「あいつ犯人やで」と告げたため店員が小川被告を捕まえて警察に突き出しています
任意での事情聴取ですから、本当に冤罪ならばその段階で犯行を否認できたはずですが、なぜ小川被告は犯行を供述し、調書に署名したのでしょうか?
事件の流れからすれば、小川被告の放火による犯行という検察側の説明で十分に納得できます(出火元とされる部屋は9号室で、小川被告が利用していた18号室とは違う部屋だという不可解な点は残っていますが)
起訴前になって否認に転じたのは、16人もの人が死亡したのに自分が生き残ったという現実に戸惑い、困惑し、怖れ、迷った挙句に「あれは自分がしでかしたわけではない」と現実を否定する方向へ走ったのではないかと思われます
1人でも多く巻き添えにして死んでやろうと決意したのでもなく、ただ自分が死ねば楽になれるとだけ考えていたのでしょう。殺意はなかったのかもしれませんが、何の思慮もなく放火して大勢の人の命を奪う結果を招いたのですから、結果に対して責任を問うのは当然です
冤罪を主張し、消費者金融に多額の借金を抱えていた小川被告ですから、被害者やその家族に対して賠償などまったくやっていません
最高裁判所で小川被告側が何を主張するのかは不明ですが、冤罪だと言うのなら冤罪であることを立証する必要があります

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