「アニメにはちゃんと日本映画の血が流れている」の紹介

WEDGEのウェッブ版にアニメーション監督原恵一と浜野保樹東大教授の対談が掲載されているので紹介します
掲載されてから1年以上も経過しているので、何を今更と思われる方もいるのでしょうが、なかなか興味深い話が展開されています
原恵一は「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ! オトナ帝国の逆襲」を作った監督だと説明すれば、「ああ、あの作品の」と思われる方もいるでしょう

アニメにはちゃんと日本映画の血が流れている

原恵一は従来の「クレヨンしんちゃん」の世界観をぶち壊すような「オトナ帝国の逆襲」を作りながら、「子供アニメのルールを外れた『オトナ帝国』をつくってしまったら、みんなに怒られて、観客にもそっぽ向かれて、『おまえにはもう任せられない』って言われて…、僕も『いやあ、当然ですよ、こんなものつくっちゃったんだから』と言うっていう、そんな流れになる予想があったんですよね」と、当時の葛藤を語っています
従来のおバカな行動と下品なギャグで綴られる「クレヨンしんちゃん」とはまったく別の世界を描くという大胆な試みをしつつも、ファンや会社を裏切ってしまう罪悪感、そして寄せられるであろう批判の嵐に怯えていたのでしょう
もちろん、作りたいものを作った結果が賞賛に結びつくとは限らず、「オトナ帝国」が不評であったのなら原恵一は干されていたに違いありません
しかし、結果として「クレヨンしんちゃん」の世界を押し広げた原恵一の手腕が高く評価され、同時にそれは日本のアニメーションにはまだまだ表現の可能性があると示唆したと言えます
こども向けアニメーションを大人の鑑賞にもたえられるドラマに仕立てて見せたのですから(こども向け、大人向けというのは話しの便法であり、そこを厳密に区切るのに何らかの意義があるとは思いません)
こうしたドラマを描く素地として、溝口健二監督や木下恵介監督ら、日本映画界が作り続けてきた作品群が存在するというのが対談の趣旨なのでしょう
とは言え、最近ではアニメーションの専門学校や大学のアニメ関連学科で学ぶ学生の多くは古い映画など見た経験がなく、もっぱらアニメーションだけを見て育った人が占めているようですが
さて、こうした日本映画の表現様式・技法として培われてきたものは、「最新のデジタル技術を導入している中国のアニメは世界最先端の…」と自慢するのに夢中になっている中国のメディア関係者には到底理解出来ないのでしょう
いかに最新の3Dアニメーションのソフトウェアを使いこなせたとしても、そこに表現すべきドラマや登場人物たちの思いが分かっていないのですから、視聴者を感動させられるアニメーションを作れるはずがありません
「宮崎駿のような1人の天才が出現すれば、中国のアニメは日本に追いつき、追い越せる」と寝言のような報道をしているうちは、日本に追いつくなど無理な話です

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