中日アニメ比較で見る国産アニメの発展 北京週報

北京週報が「中日アニメ比較で見る国産アニメの発展」というタイトルの記事を掲載していますので紹介します
記事自体は2001年に書かれたものなのですが、その頭の固さ古さは現在でも変わっていないと感じられます
記事は、「日本などの成功経験から学び、自国のかつての輝かしい経験を総括することは、中国アニメ産業の飛躍に現実的な意義がある」と、全国人民代表大会の演説みたいな口上で始まっています

中日アニメ比較で見る国産アニメの発展
ある中日アニメ比較に関するインターネット調査によると、多数の人が「日本アニメは教育的意義と民族の特色においては中国アニメに及ばないが、制作技術面ではキャラクターデザイン、画像作成、活き活きとしたストーリー、主題曲の創作のいずれにおいても中国より上だ」と考えていた。

何を言いたいのかさっぱり分かりません(笑)
日本のアニメーションの特徴こそ、日本の民族的特色を顕著に示しているのであり、それは中国アニメーションよりも豊富で複雑で、深みがあると自分は思っているのですが
アニメーション以外に、「日本の今」を表現しているものがどれだけあるのか、と言いたくなります。もちろん、「日本昔ばなし」のような文化遺産とも呼ぶべき作品も含めて、日本という国がたどってきた軌跡を、さまざまな形で表現した作品群が存在するからこそ言えるわけです


2度の文明開化を経たため、日本文化には2つの全く異なる文化がある。1度目の文明開化は「大化の改新」による「唐化」、2度目は「明治維新」による「欧化」である。
「唐化」とは、中国の唐の文化によっておこった変化のことだ。唐王朝は尚武の精神を持ってはいたが、侵略性は伴わなかった。唐王朝が衰えると、日本文化は知らず知らずのうちに変わり始めた。
近代になって欧州が帝国主義時代に入ると、外部への拡張性の強い文化が日本文化の中で膨らみ始め、日本の「大和魂」意識が強まった。これが「欧化」である。
「唐化」により日本には天皇を中心とした統一理念が形成され、民族意識と神話が融合された。日本の神話には、建国の由来、皇室の起源、国家の発展などについての物語が多く、自然神話も文化神話も国家神話の範疇に入る。「唐化」と「欧化」を経た後、国家神話を根底に持つ日本は、とうに時代遅れになった中国文化と衰え始めた西洋文化ではなく、国家神話だけが日本の台頭を後押しできると考えた。


アニメーションの発展史にかこつけ、稚拙な歴史観を披露するのはやめた方がよいと思うのですが・・・
「唐化」などという表現ですべてを括るのはいかがなものか、と言いたくなります
たしかに日本では中央集権体制を樹立するため、中国の律令制度などを取り入れたのは事実ですが、平安時代には国風文化が芽生え中国の模倣だけではなく独自の文化を創出しようとしてきたわけです
そんな事実をすっとばし、あたかも明治維新まで日本が「唐化」されていたかのように決め付けるのは思い違いもはなはだしいと言えます


この点から見ると、日本のアニメには多かれ少なかれ神話的幻想の色彩が濃いものが多く、中国アニメのゆったりと落ち着いた寓話的神話とは異なっている。日本のSFアニメとなるともっと荒々しく、乱暴で、刺激に満ちている。「欧化」思想の影響を受けて、日本アニメは「唐化」による伝統的道徳上の束縛を打ち破り、テーマ設定やストーリー面で中国アニメよりずっと内容や形式が豊富である。


「唐化」でも「共産主義化」でも同じなのでしょうが、変な思想に手足を縛り付けているからこそ、面白いアニメーションが生まれないわけで、そこを中国政府・中国メディアは理解できないようです
それに「唐化」の本家本元である中国が、清朝末期まで道徳的な社会だったのでしょうか?


中国アニメの発展には、「歴史が長い、日本という『アニメ王国』に近い、人材が豊富、消費者数が多い」という優れた優位性がある。中国アニメが今後学ぶべきは日本のようなアニメ大国だが、もっぱら模倣するのではなく、「滓を捨てて精華を取る」過程の中で自分のスタイルを探し、民族文化を融合させた発展の道を切り開いていかなければならない。客観的な態度で学び、創作するよう努力していけば、将来きっと世界のアニメーションの舞台で一席の地を得ることができるだろう。


「滓を捨てて精華を取る」などとすごい発言をしています
そしてまた「民族文化を融合させた発展の道を切り開いていかなければならない」と、意味不明な宣言が続きます
中国のアニメーションは確かに歴史が長いのですが、断絶してしまったと言ってもよく、その技術や作風が継承されてきたとは言い難い現状です。何しろ文化大革命で多くの映画人、アニメーション関係者を粛清したり自殺に追いやったのですから
そして「人材が豊富」だという主張も怪しい限りです。確かに多くの大学にアニメーション関係の学科を設けていますが、そこからキラ星のごとく人材が登場しているわけではありませんし、キャリアを積んで成長していけるような業界になっているわけでもありません
2001年の時点で中国のアニメーション作品に画期的なヒット作があったとは思えないのですが、自信だけは溢れかえっています
さて、そんな中国の豊富な人材がどのようなものか、アニメーションを学ぶ学生の作品を紹介しましょう
北京でアニメーションを学ぶ学生の習作がYoutubeにアップされています


前半部分は中国伝統の切り絵風であり斬新な気もしますが、長すぎでしょう
後半のアニメパートと整合性がなく、別々の作品を無理やりくっつけたよう見えます
後半の追いかけっこも長すぎですし、そこが特段の見せ場というわけでもありません
キャラクターが動き回る姿を表現したいだけ、と見えてしまいます
何を描くか、どこに比重を置くかがまだ定まっていないから、こんなちぐはぐな動画の羅列になってしまうのではないでしょうか?
複数の学生が、自分の自負するアイディアを盛り込んだ結果、整合性を欠いた作品に仕上がったのかもしれません
コンピューターソフトを使いこなす腕はあるのでしょうが、それだけでアニメーションは作れないわけで、脚本やコンテにもっと力をいれるべきだと思います

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