日本の科学力 重力波観測望遠鏡の建設開始

神岡鉱山の地下に設置されたニュートリノ観測装置「カミオカンデ」が、大マゼラン星雲でおきた超新星爆発で生じたニュートリノを世界で初めて検出した件で小柴昌俊東大教授はノーベル物理学賞を受賞しました
その神岡鉱山に今度は重力波を観測するための大型低温重力波望遠鏡「LCGT」が建設されると報じられています

重力波望遠鏡:「LCGT」の着工式行われる 岐阜・飛騨

大雑把にまとめるとレーザー光を発射し、鏡に反射して戻ってくる時間は重力波による影響がない限り常に一定です。超新星爆発などによって重力波が発生すれば時空が歪むため、この時間に変化が生じるわけで、その現象を観測できれば重力波の存在を証明できるというのが実験の大筋です
NASAは宇宙空間に人工衛星を配置し、約500万キロもの離れた距離でレーザー光を発射し、重力波による干渉の有無を検出する計画を推進しているのだそうです
レーザー光を飛ばす距離が長ければ長いほど、往復に要する時間が長くなるため、微弱な重力波の干渉でもその到達時間の変化が検出しやすくなるとの考えに基づく計画です
上記の記事では「LCGT」の距離は3キロですから、NASAの計画にある500万キロとは比べものにならないほど短い距離です
しかし、宇宙空間へ放出された観測装置はメンテナンスができませんので、トラブルが生じると数十億円の観測装置が無駄になってしまうというリスクがあります
地上(地下)に設置された観測装置であればメンテナンスが可能であり、調整を加えることで観測精度を高められるメリットがあります
さらには原子時計の技術的な進歩により、時間測定の精度が大きく向上しているのもこうした実験を可能にしているのでしょう
独立行政法人産業技術総合研究所はイッテルビウム光格子時計の開発に成功しています。まだ60万年に1秒の誤差で作動するモデルの試作に成功した段階ですが、理論上は137億年に1秒以下の誤差という超精密な時計を実現させる可能性があります
一般的なセシウム原子時計の精度は1億年に1秒の誤差ですから、イッテルビウム光格子時計がいかに高い精度を実現させる可能性を有しているかが分かります
こうした基礎的な研究がいくつも展開され、日本の科学力を支えているのは言うまでもありません
さらには大規模な観測装置を建設するだけでなく、各種装置をミリ単位以下で正確に据え付け、調整ができる技術があるからこそ実現できるわけです
すでに幾つかの国では重力波望遠鏡が稼動しており、開発・観測で競争が展開されています
日本では1995年から重力望遠鏡プロジェクトが開始され、国立天文台三鷹キャンパスに距離300メートルの重力望遠鏡が設置されています
そこでの研究成果、経験が今回の「LCGT」にも反映されるのを期待しましょう
アインシュタインの生きていた時代にはこれだけ大規模な実験装置を作るなど不可能であり、精度の高い観測も不可能でした
それが半世紀を経て実現するのですから、科学に疎い自分でもワクワクさせられます

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