池袋駅殺人未遂事件で犯人逮捕 「ナイフは護身用」

東京渋谷の地下鉄駅でナイフを持った男性が利用客を刺し、立ち去るという事件がありましたが、埼玉県朝霞市在住の渡辺知宏容疑者を警察は逮捕しました
犯行に使用したナイフは護身用として日頃から持ち歩いていた、と供述しています

「ナイフは護身用に携帯」 渋谷駅切りつけ容疑者

記事を見ればこの手の事件でおなじみの釈明が並んでいます
「ナイフは護身用」とか、「殺すつもりはなかった」などなどの釈明です
刃渡り約30センチのナイフで人を刺しておいて、「殺すつもりはなかった」との釈明が通用すると思っているのでしょうか?
あるいはエスカレーターで体がぶつかっただけの被害者を追いかけ、首を刺しておいて「ナイフは護身用だった」との釈明も随分と奇妙なものです
そこで今回の事件とナイフの意味を考えてみようと思います
精神分析の立場からすればナイフは男性のペニスの代理です。だからといって逮捕された渡辺容疑者が何やら性的なコンプレックスに苛まれていたと決めつけるのは、あまりに短絡的な見方です
この場合のナイフは男らしさとか、男性としてのアイデンティティを投影したものだと考えるべきでしょう
つまり渡辺容疑者は男らしさに欠けると自覚し、コンプレックスを抱いていたからこそ、それを補うため刃渡り30センチのナイフを日頃から持ち歩いていたと推測されます
敵から自分を守るためではなく、自分のアイデンティティの代替品としてコンプレックスを払拭するため、渡辺容疑者はナイフを常に持ち歩く必要があったのでしょう
ただし、これで全てが解明されたわけではなく、渡辺容疑者がなにゆえに根深いコンプレックスを抱くようになり、男らしさの欠如に悩むようになったのかを読み解かなければなりません
男性とぶつかったのはきっかけにすぎず、ナイフで刺すという行動には何か別の力動が働いていた可能性もあります
渡辺容疑者のこれまでの人生に、何か敵意なり鬱屈を貯めこむようになった重要なエピソードが隠されているのでしょう
「ナイフは護身用」で、「カッとなって刺した」が、「殺気はなかった」と供述しているうちは、まだ自分の犯行と向き合っていないとも言えます
追記:東京地裁は渡辺知宏被告に対し、懲役10年(求刑は懲役15年)の実刑判決を言い渡しています

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