「エヴァンゲリオン」庵野監督を語る週刊プレイボーイのスカスカ記事

今月封切られた「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q」が大ヒットとなっており、監督庵野秀明に注目が集まるのは当然でしょう
週刊プレイボーイが「今、あらためて考察する “エヴァをつくった男” 庵野秀明」と題する記事を掲載しています
が、「考察する」と言いながら、いったい何を考察しているのか不明の、おそろしくスカスカで中身のない記事になっています

今、あらためて考察する “エヴァをつくった男” 庵野秀明

この記事を読んで何かを考察できたと実感できる読者がどれだけいるのか、と思ってしまいます。自分は段落ごとに分け、ノートに書き写してみたのですが、この文章の構成の狙いも意味もさっぱり分かりません
「庵野秀明という男の、ひと言では語りきれない『作家性』と意外な『人間性』をあらためて考察してみたいと前置きし、アニメ評論家の藤津亮太や杉作J太郎のコメントを並べています
しかし、そのコメントで庵野秀明の特異な作家性が考察されているわけでもなく、単なるエピソードの紹介です。庵野秀明監督と「エヴァンゲリオン」に関する薀蓄を列挙すれば、そこから作家性が解明されるというものではありません
ましては後段の、「庵野秀明→いい人伝説」を彩るエピソードから、何を言おうとしているのか理解不能です
まあ、これで人間性を語ったつもりなのでしょう
もちろん週刊プレイボーイの掲載記事にいまさら何も期待しないのであり、中身がスカスカであるのは毎度の話です(いわゆる「頭の悪い記事」です)
庵野秀明の作家性や人間性をジャーナリストとしてどう語るかを自問もせず、「パチンコ台にもなってエヴァは大儲けできるコンテンツ」だと指摘すれば、それで満足なのだと思われます
さて、これだけではあまりに後味が悪いので、エヴァンゲリオンや庵野秀明について熱く語っているウェッブサイトを幾つか紹介しておきましょう

アニメ雑文

ホームページの主は、「やはり『エヴァ』はそれに接した者に何かを語らせたくなる作品である」と述べており、いくつものエヴァンゲリオン論を掲載しています。作品を見る眼差しがとても真摯であり、特に庵野秀明の演出方法について卓越した指摘した見解が披露されています
ちょっとした台詞、構図、仕草から登場人物たちの心のゆらぎを表現しようとする庵野秀明とそのチームの丁寧な演出を挙げ、「とにかくこれだけ凝った作りの作品,アニメに限らず,映画でも小説の世界でも,最近はなかなかお目にかかりることができない」との感慨を表明しています
実写映画、テレビドラマなどよりもはるかに緻密な演出が根底にあるからこそ、「エヴァンゲリオン」が繰り返し鑑賞するに値する作品になっているのだと言いたいのでしょう
「パチンコ台になって大儲け」と書いている週刊プレイボーイの記者には、ドラマやアニメーションを見る能力もないのは明らかです
もう一つ、紹介しておきます

EVANGELION(新世紀エヴァンゲリオンについての考察、謎解き、解釈)

投稿された各種のエヴァンゲリオン論を集めたホームページです。すべて読むには膨大な時間が必要になります。ここまで作品を語り倒そうとする熱心がファンが大勢いてこそ、日本のアニメーションが成り立っているのだな、と感心させられます
話がちょっと逸れますが、大友克洋監督について言及した際、「AKIRA」の続編を期待されながらも頑なにそれを拒んでいる姿勢が気になりました。宮崎駿も続編は絶対にやらないと明言している監督の1人です
ビジネスとしては確立されたコンテンツを繰り返し使って儲けるのが当然であり、正しい選択なのでしょう
しかし、「1度やったものはやらない」と言い切り、常に新しい作品に挑み続けるのもアニメーション監督としての生き方であり、どちらが優れているとか劣っているとか論じる問題ではありません
庵野秀明が「エヴァンゲリオン」を再映画化したのも、ビジネスのためであるとともに、もっと表現したいという意欲があったからなのでしょう

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