大学設置認可を巡る田中真紀子の暴走

少子化の影響で冬の時代を迎える大学は、学生の確保のため必死になって駆け回っています。特に短大は受験生離れが著しく、短大から4年制の大学へ移行して生き残りを図る動きが顕著になっています
そんな折り、田中真紀子文科相は秋田公立美術大(秋田市)など3つの大学の設置認可を認めない方針を打ち出し、世間を驚かせました
大学設置審議会で認可するのが相当だと答申が出ていたにも関わらず、大臣の一存で不認可にしたのですから、批判を浴びるのも当然です


田中真紀子文部科学相が秋田公立美術大の新設を不認可とした問題で、大学への移行を目指している秋田公立美術工芸短大(秋田市)の樋田豊次郎学長が4日、記者会見し「大変理不尽で、とても乱暴だ」と述べ、不認可の撤回を求める意向を示した。
同短大のアンケートで北海道と東北の高校生900人以上が美術大への入学を希望していたと説明し「生徒の学び、活動するチャンスをつぶしてしまう。そこに一番怒りを覚える」と強調した。
同短大は、美術大へ編入を希望していた在校生32人向けの説明会を早急に実施する。来年度の新入生募集については、年内をめどに結論を出す予定だ。
樋田学長は同時に不認可とされた札幌保健医療大(札幌市)、岡崎女子大(愛知県岡崎市)とも連携して撤回を求める考えを示した。
(日本経済新聞の記事から引用)


田中真紀子は長年政治家をやっているのですが、役所の許認可権という行政手続をまったく理解していないのでしょう。大臣に一存で認可も不認可もできると思い込んでいたがゆえに、今回のドタバタ劇を生んだと言えます
大臣だからとって好き勝手に許認可権を行使できるものではありません
適正な手続きにのっとり行われた申請に対し、役所の裁量権だけでこれを拒むのは違法とされます
田中真紀子は「大学設置の新基準を設けて審査する」と発言していますが、その新基準はまだ存在していないのですから、存在しない新基準を盾にして認可できないと主張するのは無理があります
この辺りの行政手続きは、学生向けに書かれた行政法の教科書でもページを割いて入念に説明しているところです。田中真紀子は行政法も学んでいないのでしょうか?
おそらく田中真紀子の原風景は、父親田中角栄が自宅に官僚たちを呼びつけ、頭ごなしにあれを認可しろ、これは認可するなと命令していた姿なのでしょう
認可するにせよ、不認可にするにせよ、その理由付けは官僚たちが考えるものであり、政治家は官僚に命令するのが仕事だと思い込んでしまったと考えられます
田中真紀子は「世間は誤解している」と反論しており、「大学の質の向上を自分は考えているのであって、個別の3つの大学をどうこうというのは自分の本意ではない」と述べています。ならば大学の質の向上のためいかなる方策を講じるか、その理念などを公表するのが先です
そんな理念も持ちあわせていないのに、批判を浴びて慌てふためき、何か高邁な理念に基いて行動しているかのように装うのは無様な限りです
田中真紀子はこの件で野党から追及され、与党内でもますます孤立するのでしょう。辞任に追い込まれるのが先か、内閣が倒れるのが先なのかは分かりませんが

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