女子柔道園田監督 辞意を表明

ロンドン五輪で女子柔道代表監督を務めた園田隆二やコーチが選手に暴力を振るっていた問題がメディアで報道されています
渦中の人である園田隆二は1月19日、全日本柔道連盟から訓戒処分を受けたものの代表監督としてそのまま在任することが決まっていました
ところが一転、女子選手による告発が公になった途端、園田隆二本人が辞任を申し出る展開になっています
全日本柔道連盟の対応のも批判されてしかるべきでしょう


暴力行為などがあったとしてロンドン五輪代表を含む15選手に集団告発をされていた柔道全日本女子の園田隆二監督(39)が31日午後、東京・文京区の講道館で会見を行い、全日本柔道連盟(全柔連)に進退伺を提出し、辞任する意向を示すことが明らかになった。
園田監督は来月5日、選手らとともにグランドスラム・パリ大会に向けて出発する計画があり、30日の時点では予定通りだったが、全柔連の上村会長は「今のままで行くにしても、あるいは(監督を)代えるとしても、きちんと(聴取の)結果をみなければ。真の解決はみていないと思っている」とし、監督交代の可能性にも言及していた。
(スポニチ・アネックスの記事から引用)


取材に応じた園田監督は、「急いで強化しないといけないという焦りがあった。信頼関係が築けていなかった。私の指導力不足が一番の原因」と語っていますが、今回の事態は指導力不足が原因などではなく、指導方法やその思想そのものが間違っていたと言わざるを得ません
つまり「いかに選手を育てるか」という方法論自体に誤りがあり、しかも園田監督自身がまったく理解しておらず、今回の事態をきちんと洞察できていないと露呈したのです
選手からの告発をつきつけられても、なぜ自分の指導が批判されるのか園田隆二は理解できず、戸惑っているだけなのでしょう
理解できないまま、ただ「自分の指導力が足りないから選手が反発した」と口に出しただけです
別の報道では、「暴力を振るったつもりはなかった」との発言も伝えられています
つまり、自分の指導が選手にどう伝わっているのか、選手がどのように感じているのか、まったく考慮もせず推察しようとすらしなかったと言っているわけです
これでは指導者として失格です
頭の中まで筋肉で固まっているのか、と言いたくなります
選手はひたすら監督の指導に従属するもの、という関係しか頭になかったのでしょう。「従属しないのは選手にやる気がないからだ」と決めつけ、「やる気がないなら(代表を)辞めろ」と言うしかできないのです
こうした指導の方法論の誤りは女子柔道に限らず、日本のスポーツ界全体に見られると言えます。桜宮高校の体罰問題もその1例でしょう
根源を考えると、スポーツの指導者に思想が欠如しているところに問題がありそうです。この場合の思想とは人生哲学とか指導哲学といった小手先の処世術を指すのではありません
スポーツ選手(それが大人であれ、未成年の少年少女であれ)を1人の独立した人格と捉え、尊重しようとするところからすべてが始まるのですが、日本のスポーツ界にはその前提すら存在していないところが問題です
心理臨床の場合、当然のこととして相手を1人の独立した人格と尊重するところから始まります。実験動物扱いするのなどもってのほかです
しかし、日本のスポーツ界では選手や生徒を1人の独立した人格だと認めようとはしません。そのため指導者と選手の間に対等な関係など成り立たないのです
近代の哲学は自分とは何かを考え、自分と他者との関係を考えることで発展してきました
日本のスポーツ界では他者の存在を認識しておらず、ただひたすら指導者の側からの一方的な働きかけだけで成立しているのが現状です
スポーツ指導者を育成するためのカリキュラムすら十分でなく、系統立った指導論すら学んでいない人間が監督、コーチの立場に就いているのですから
だからといって「心理学のノウハウをコーチングに活かす」べきだなどとは提言しません。それも小手先の瑣末なテクニックに過ぎません
大事なのは繰り返し書いているように、選手・生徒を1人の独立した人格だと尊重し、敬意を払って接しなければならないとの自覚を指導者の側が持つところにあります。その前提がなければ他者との関係を構築できないのですから

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