岡山派遣OL殺害事件 死刑判決

昨年9月、27歳の女性会社員を殺害した上、遺体をバラバラに切断して遺棄した容疑で逮捕された住田紘一被告に岡山地方裁判所は死刑判決を言い渡しています
被害者が1人の場合、死刑ではなく無期懲役とする判決が多い中で、異例の判決と報じています
以前に当ブログで取り上げた三島の女子大生殺人事件も、被害者は1人ながら死刑が言い渡されすでに執行されています。この服部純也死刑囚の場合、直接の犯行での被害者は1人ですが、過去に何度も事件を起こして服役するという前歴があった上に、暴行を加えた被害者にさらに灯油をかけ生きたまま焼き殺すという残虐な犯行から死刑もやむなしと判断されたものです
さて、住田被告の裁判に話を戻します
事件と裁判の経過について、産経新聞がまとめの記事を掲載しています

犯し、メッタ刺し、バラバラに…27歳OLの命乞いを無視、「殺人は是認される」と言い放った〝人間の皮をかぶった悪魔〟

本件のような被害者が1人という事件では死刑でなく、無期懲役を選択するのはいわゆる「永山基準」の影響です。
昭和58年、最高裁判所は永山則夫に死刑判決を下すにあたり、死刑洗濯の基準を示しています。それが後に「永山基準」と呼ばれ現在に至っています
死刑判決が適用されるには、(1)犯罪の罪質(2)動機(3)態様ことに殺害の手段方法の執拗性・残虐性(4)結果の重大性、ことに殺害された被害者の数、複数殺害か否か(5)遺族の被害感情(6)社会的影響(7)犯人の年齢(8)前科(9)犯行後の情状-の9項目を検討した上で判断するとした内容です
ですが、これは最高裁判所の判決の中で示された個別の事件に対する量刑判断の基準であって、法令ではありません。「最高裁判所は今回永山則夫に死刑判決を下すにあたり、9項目を検討し斟酌した」というだけであって、これを絶対的な基準であるかのように振りかざすのは大きな間違いです
もちろん最高裁の判例として重みはあるわけですが
逆の見方をすれば、世間やメディアに永山則夫に対する同情論が蔓延していた中で死刑判決を下すための、裁判所の言い訳だったと考えられます
ところが世間も裁判官もこの永山基準に縛られ、「被害者が1人の場合、永山基準に反するので死刑にはできない」と判断するようになってしまいました。これを自分は大きな間違いだと考えるわけです
住田被告が女性を強姦した上で殺害し、遺体をバラバラにして捨てたのは、交際相手だった女性が会社の同僚の男性に乗り換え結婚することになったのに腹を立て、その会社の同僚の犯行に仕立てて陥れるためだったと検察側が陳述しています。その犯行の動機について住田被告は法廷で否定していませんので、事実なのでしょう
ですから本件は計画的な殺人であるとともに、住田被告が女性を強姦した上に切り刻むという、残虐な嗜好に基づく復讐譚を心の中に描き、それを実行したものと考えられます
住田被告の中にそのような狂気が芽生えた背景こそ、事件を意味を読み解く鍵となるのですが、裁判では重視されなかったようです

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