「風立ちぬ」を批判する韓国の大学教授

宮崎駿の「風立ちぬ」に関する批評をあれこれ取り上げてきました。今回は韓国のカン・テウンという大学教授による批評です
元記事が韓国語なので、いつものようにインターネットの掲示板「2ちゃんねる」に貼られた蚯蚓記者の翻訳を引用・紹介します
長文ですが、一読いただければ彼らのいつもながらの思考パターンが浮かび上がり、お約束の歴史観批判へ行き着いているのがご理解いただけると思います


今年の7月26日、東京の東側にある小金井市で風変わりな記者会見が開かれた。これは7月20日、日本で封切られた劇場用アニメ<風が吹く(原題:風立ちぬ)>の宮崎駿監督を韓国記者がインタビューする席だった。
通常、外国監督の記者会見は韓国で封切られる頃に監督が来韓して行う。全世界への配給を目的に作られた作品なら、様々な国の記者をいっせいに招請してインタービューが行われることもある。
ところが<風が吹く>のように封切りと無関係で、それもたった一つの国を指定して記者会見が開かれた事例は珍しい。誰の主導でいかなる経緯かは分からないが、その理由は推測可能だ。
このアニが第二次世界大戦の日本海軍主力機で神風特攻隊も使った'零式艦上戦闘機'、いわゆる'ゼロ戦'の設計者、堀越二郎を主人公にしているためだ。すなわち、韓国の'反発'が強いと予想した誰かによって開催された'説明会'だったのだ。
ところが記者会見後の日本での'反発'が強かった。「アニメンを政治的に解釈するな」「この作品は絶対、戦争賛美アニメじゃない」「ゼロ戦はほとんど登場しない」「韓国はいつも歴史問題に対して過敏反応だ」等などの反応があふれた。
これは韓国としてはちょっとあきれる状況だ。なぜなら、<風が吹く>は韓国で封切りもされていない状態であり、封切り反対の動きもなかった。その上、その記者会見は日本の要請で成り立ったものだ。過敏に反応している側は韓国ではなく日本だった。
(中略:映画説明。)
宮崎駿は堀越のような人物を無条件に悪く見ることはできず、一時代を懸命に生きた人を描きたかったとインタビューで明らかにした。これはこのアニメが'戦争賛美'がないという日本メディアの主張に一致する。
事実、この作品は戦争を賛美していない。問題は戦争がほとんど描かれていない点だ。関東大震災の場面が恐ろしいほど細密に描写されている一方、戦争についてはセリフを通した言及だけで映像にはほとんど登場しない。
従って日本陸軍と海軍のために熱心に飛行機設計をした堀越の努力は没歴史化される。
その他にも没歴史化のために宮崎駿は多くの努力をする。里見との愛の物語は堀越二郎とは全く関係ない小説から持ってきた。そしてこの作品中の堀越は戦闘機を設計しながらいつも言う。「美しい飛行機を作りたい。」完成された戦闘機の前でも彼は「美しい」という言葉を連発するだけだ。このセリフは周辺国との対話なしに日本の'美しさ'だけ強調する安倍晋三総理の著書<美しい国へ>(2006年)を想起させる。
宮崎駿の安易な歴史観は作品全体に染みている。堀越は1930年代、ドイツ企業ユンカースを訪問してドイツの戦闘機および爆撃機を見学する。彼は「貧しい」日本とは対照的なドイツの優れた飛行機製造技術に驚く。当時、日本は沖縄、朝鮮、台湾を植民地にし、中国を侵略中の帝国主義の先鋒に立った国であった。それにもかかわらず日本は貧しくドイツを習うべきだと堀越は叫ぶ。
その上<風が吹く>は戦争を背景にしながら第二次世界大戦の相手のアメリカ人も、すでに侵略を受けていた中国人が登場せず言及さえない。作品中に登場するのは主人公の心情に同情するドイツ人とカプローニというイタルリア人だけだ。すなわちドイツ、イタリア、日本、枢軸国国民間の対話が再現されてるだけだ。結局、話されるのは自分たちの被害であって戦争相手国やアジアの隣国に対する認識は欠如している。
宮崎駿は安倍総理の改憲に反対を明らかにしている。<風が吹く>のような作品を作って、なぜ改憲には反対するのか不思議だが、日本のいわゆる'反戦'又は'平和主義'は決して侵略と植民地支配という彼らの加害に対する反省からくるのではない。すなわち、加害者という反省でなく、日本人自身の被害が大きかったため、これを繰り返すのは止めようという被害者意識の発露にすぎない。その意味で<風が吹く>は戦争美化というよりは日本人の被害者意識の美化だ。
従って日本でこの作品は大成功をおさめて900万人の観客を集め、涙を流したという観客評がインターネットをいっぱい埋めている。日本人たちの涙を自分たちだけのためでなくアジアの他者のためのものに変える、真の'風'はいつ吹くのだろうか。
ソース:プレシアン(韓国語) 日本を鳴る本物風吹け![西南東アジア通信]宮崎駿の<風が吹く>


「宮崎駿の安易な歴史観」と切り捨ててしまうだけで、作品の本質を読み取る気は皆無のようです
そもそも本来のストーリー、堀越二郎の戦闘機開発にまつわる苦悩と菜穂子との恋を脇においてまで、中国人や朝鮮人を登場させ、彼らの言い分を取り上げる必要などありません。そんなことをすれば「風立ちぬ」とはまったく別の作品になってしまいます
この大学教授の専門が何であるかは不明ですが、堀辰雄の文学に興味も関心もないのでしょう
ただ韓国人が「正しい歴史認識」と称する価値観や尺度で物事を測り、正しいだの間違っているだのとほざいているにすぎないのです
芸術やエンターティメントを味わい、楽しむという感性を持たない土人のような人たちだと分かります
もちろん、この大学教授が述べているように日本人の被害者意識を美化したいがために宮崎駿が「風立ちぬ」を作ったわけではありません
これについては先に岡田斗司夫が指摘したように、「坂の上の雲」説の方がより宮崎駿の心情に近いものと思われます
貧しい日本という国にあって、美しい飛行機を作ろうと懸命に足掻き、努力した堀越二郎を宮崎駿は描きたかったのであり、「我々日本人は戦争の被害者である」と言いたくてこのアニメを描いたのではないと
それを読み違えてしまうのですから、この大学教授も韓国の歴史観に毒されてしまった1人なのでしょう

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