国立競技場聖火台を石巻へ移転させる運動

オリンピック関連のニュースが数多く報じられています。その中から1つ、取り上げます
宮城県石巻市で、「建て替えになる国立競技場に設置されている聖火台を、石巻へ移転させよう」との運動が発足したと伝えられています
復興の象徴として、1964年東京オリンピック開催で使われた聖火台を石巻市に誘致したいとの思いで、関係方面への陳情や資金集めに乗り出すものと思われます


国立の聖火台、石巻移設を 民間の誘致委員会発足
東日本大震災での支援に対する感謝と復興への強い意志を発信しようと、2020年東京五輪の聖火リレー出発地と、国立競技場(東京)に設置されている聖火台の石巻市誘致を目指し、民間主導の委員会が21日、発足した。
五輪開催に向け国立競技場が改修されることから、市体育協会が昨年8月、聖火台の石巻移設を発案した。1964年東京五輪で戦後復興の象徴となった聖火台に、震災復興の願いを重ね合わせるという。
20年五輪は「復興五輪」を掲げ、被災地を巡る聖火リレーも計画されている。コース設定は未定で、震災で最多の犠牲者が出た石巻市からの出発を目指す。候補地は、市が県とともに復興祈念公園を計画する南浜地区や日和山などを想定している。
委員会は経済界や市民団体などの21人で構成。設立会議は市総合体育館であり、委員長に就任した石巻商工会議所の浅野亨会頭は「歴史的な活動に身が引き締まる思い。やるからには先頭に立って頑張る」と述べた。
(河北新報社 2月22日付)


自分自身、東北の震災で激甚な被害を被った地区の生まれであり、地域の復興には関心を払っているつもりです
しかし、以前にも取り上げた「奇跡の一本松保存運動」と同様、この手の記念事業にはまったく賛同する気になれません
国立競技場にある古い聖火台を丸ごと石巻市に移転したとして、それで勇気づけられたり希望を見出す人がいるにしても、本当に必要な事業なのか疑問に思うからです
もちろんこの運動が象徴的な意味合いを帯びたもので、震災の記憶が現地以外で風化しがちな状況に抗い、今一度世間の目を被災地へ向けさせたいとの思いから発しているのは理解できます
しかし、2020年の東京オリンピックを東北復興に結びつけるのもかなり無理筋であり、聖火台移転の手間や費用はもっと別のところで有効に活用すべきではないかと言いたくなります
「奇跡の一本松保存」にあれだけの手間と費用をかけるくらいなら、松原を復活させるための植樹活動にそれを投じた方がよかったのではないか、といまさらですが書いておきます
要するに石巻市の商工会の人たちは、オリンピックと復興を絡めた「美しい物語」を求めているのであり、「感動」的なイベントをやりたいのでしょう
植樹活動のような地味な取り組みでは全国区のニュースとなりにくいため、メディア受けする「聖火台を石巻移転 復興の象徴へ」とのイベントをやり、被災地へのさらなる支援を呼びかけたいのだと推察します
そして、「復興のためにこれだけ頑張っている」と、世間の人たちから承認されたいのでしょう
その気持は理解できますが、だからといって「聖火台の移転」なのでしょうか?

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