秋葉原17人殺傷事件を考える20 実弟の自殺

2008年、秋葉原の歩行者天国で17人を殺傷した加藤智大被告の実弟(28歳)が自殺していた、と「週刊現代」がスクープしているのだそうです
自殺した加藤優次さんは「被害者家族は言うまでもないが、加害者家族もまた苦しんでいます。でも、被害者家族の味わう苦しみに比べれば、加害者家族のそれは、遙かに軽く、取るに足りないものでしょう。(中略)ただそのうえで、当事者として言っておきたいことが一つだけあります。そもそも、『苦しみ』とは比較できるものなのでしょうか。被害者家族と加害者家族の苦しさはまったく違う種類のものであり、どっちのほうが苦しい、と比べることはできないと、僕は思うのです。だからこそ、僕は発信します。加害者家族の心情ももっと発信するべきだと思うからです。それによって攻撃されるのは覚悟の上です。犯罪者の家族でありながら、自分が攻撃される筋合いはない、というような考えは、絶対に間違っている。(中略)こういう行動が、将来的に何か有意義な結果につながってくれたら、最低限、僕が生きている意味があったと思うことができる」との手記を残したとされます
もちろん加藤優次さんと接触していた週刊現代の記者はカウンセラーでもありませんし、精神科医でもありません。加藤優次さんとは、取材する側と取材される側の関係であり、それ以上の間柄ではなかったと言えます
しかし、それでも加藤さんの自殺を止められなかったのか、という思いは残ります


『秋葉原事件』加藤智大の弟、自殺1週間前に語っていた「死ぬ理由に勝る、生きる理由がない」


記事を読んで、「生きる理由がないなどと言わず、(加害者の家族というどん底の状況に追い込まれたからこそ)生きてほしかった」と書きたくて、当ブログで取り上げました
加藤さんの父親は務めていた銀行を辞め、自宅を売り払って損害賠償のためのお金を供出し、母親は離婚して精神的に不安定な状態になっています。もう両親は息子である加藤智大被告について語ろうとはしないのでしょう
であるからこそ、加藤優次さんには語り続けてほしかったわけです
メディアが加藤さんとその家族を追い詰めたと指摘しても、虚しいだけです
加藤智大被告は実弟の自殺にも反応ぜず、その死の意味を考えたりもしないと推測します
これまでも書いてきたように、加藤智大被告の犯行は派遣切りに遭ったためでもなく、格差社会の犠牲になったからでもなく、掲示板を荒らされたからでもなく、何もかも上手くいかない人生を母親のせいだと決めつけ、母親への復讐として大量無差別殺人を起こしたと考えます。母親を法廷の証言台に立たせ、糾弾したかったのでしょう
しかし母親は法廷に立って証言することはなく(青森で出張尋問に応じたのみ)、加藤智大被告からすれば「逃げた」も同然です
加藤智大被告は母親を憎み、恨み、決して許そうとはしないのであり、弟の自殺で揺らいだりはしないと思われます

(関連記事)
秋葉原17人殺傷事件を考える1 長引く裁判の狙い
秋葉原17人殺傷事件を考える2 加藤智大というイコン
秋葉原17人殺傷事件を考える3 現実との境界
秋葉原17人殺傷事件を考える4 加藤智大の甘え
秋葉原17人殺傷事件を考える5 母親の供述調書
秋葉原17人殺傷事件を考える6 加藤被告の「夜這い」
秋葉原17人殺傷事件を考える7 すべては加藤被告のパフォーマンス
秋葉原17人殺傷事件を考える8 すべては掲示板のせい?
秋葉原17人殺傷事件を考える9 突飛な行動へと走る理由
秋葉原17人殺傷事件を考える10 「加藤よ、裏切ったな」
秋葉原17人殺傷事件を考える11 責任能力認定
秋葉原17人殺傷事件を考える12 死刑求刑も無表情
秋葉原17人殺傷事件を考える13 中身のない最終陳述
秋葉原17人殺傷事件を考える14 被告に死刑判決
秋葉原17人殺傷事件を考える15 かみ合わない親子
秋葉原17人殺傷事件を考える16 「成熟格差社会」という指摘
秋葉原17人殺傷事件を考える17 事件から4年
秋葉原17人殺傷事件を考える18 控訴審で死刑判決
秋葉原17人殺傷事件を考える19 加藤智大の手記「解」
秋葉原17人殺傷事件を考える21 最高裁で死刑確定
「秋葉原事件」加藤智大が「黒バス脅迫事件」を語る
釧路イオンモールで無差別殺人 犯人を取り押さえる
釧路イオンモール無差別殺人 松橋伸幸容疑者の素顔
新幹線3人殺傷事件を考える 小島一朗容疑者とは
新幹線3人殺傷事件を考える 小島容疑者は自閉症?
新幹線3人殺傷事件を考える 両親との葛藤・対立
原宿自動車暴走事件 大量殺人計画
原宿自動車暴走事件 運転者を逮捕


秋葉原事件 加藤智大の軌跡 (朝日文庫)
朝日新聞出版
2013-06-07
中島岳志

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by 秋葉原事件 加藤智大の軌跡 (朝日文庫) の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル