タンス預金880兆円はけしからん? 麻生発言

産経新聞の小さな記事が話題になっています。麻生財務大臣の発言で、「どこの国に880兆円(も)のカネを現預金で持っている国があるのか。ふざけた話じゃないか」と、おそらくは記者の囲みの場で口にしたと思われるものです
以下、記事を引用します


「どこの国に880兆円(も)のカネを現預金で持っている国があるのか。ふざけた話じゃないか」
日本の家庭に「タンス預金」などで膨大なお金が眠っている現状にこう強い口調で疑問を呈した。
その上で「日本だけどうしてこうなったのか」と自らに問うように話し「株が信用されなかった、信託会社が信用されなかったということだろ。信用されないような行動だったんだ」と分析してみせた。
麻生氏が指摘する、信用されない販売手法などを改めるため、金融庁は現在、業者に対し意識改革を促す指針の導入を検討する。
業者の意識が顧客目線に変われば「タンス預金を含めたカネが金融機関を通じ、成長産業への投資に振り向けられる」と、投資拡大への期待を込めて話していた。


麻生財務大臣は「タンス預金が880兆円もある」とは発言していないのですが、記事を読んだ人の中には、「へえ、日本にはタンス預金だけで880兆円もあるのか」と早合点してしまった人も少なくないようです
この記事を読めば「タンス預金」はあくまでも記者が付け加えたものだと分かりますし、そもそも記事の主眼は証券会社や投資信託会社の商売のあり方を批判し、改善を金融庁に検討させている、という点にあります
日本の家庭に眠っているタンス貯金の推計額については諸説ありますが、2010年に発表された日本銀行の数字では約82兆円とされています。これは市中に出回った日銀券(紙幣)の発行残高であって、必ずしもタンスの中に隠された貯金の額を示すものではありません
「日本人は倹約志向で貯蓄率が高いから、タンス貯金に銀行預金など加え880兆円くらいあっても不思議ではない」との見方をする人もいますが、日本は貯蓄率が高いという話は過去のものであり、2010年の統計によれば諸外国の貯蓄率は以下のようになっています
アメリカ    3.4%
イギリス    6.4%
ドイツ    12.0%
フランス   15.6%
イタリア    7.7%
スウェーデン 11.7%
韓国      3.5%
日本      2.4%
日本は1992年当時、貯蓄率が14%を超えていましたが、その後は急激に低下しています。「失われた10年」と呼ばれる、経済停滞の影響でしょう
収入の伸び悩み、ボーナス削減などにより、貯蓄に回るお金が減ってしまった結果、日本の貯蓄率はアメリカよりも低いというのが現実です
アベノミクスの影響で株価は上昇しましたが、それで日本の経済が上向したのかどうか、個々人の生活が向上したのか、十分に吟味されるべきでしょう
その上で個人資産をうまく投資に活用できれば、まだ経済成長の可能性はあるのかもしれません
ちなみに日本の個人資産についてもさまざまな推計があり、「日本には1600兆円の個人資産が眠っている」と煽る報道も過去にはありました(こちらの数字には土地、建物といった固定資産も含まれます)

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