「秋葉原事件」加藤智大が「黒バス脅迫事件」を語る

相変わらず体調不良のままですが、リハビリも兼ねてブログを更新します
月刊誌「創」に、「秋葉原無差別殺人」の加藤智大被告から手紙が届き、その中で「黒子のバスケ脅迫事件」の渡邊博史被告の発言に関するコメントが記されていたため、篠田博之編集長がウェッブに公開しています
犯罪者同士がお互いを理解しあえたと思い込み、エールを交換している図は実に不気味であり、滑稽でもありますが、そんな揶揄はさておき中身を吟味しましょう
「秋葉原無差別殺人事件」の加藤智大被告は自著「解」(批評社)にて、理解不能とされた犯行の動機を語っているのですが、これが不評であり、世間から共感を持って迎えられたとは言い難い状況にあります
よって、いまだに加藤智大被告の思いとは別の「犯行動機」が語られ、あたかも真実であるかのごとく流通している様に深い憤りを感じているのでしょう
そのため「解」を読んでくれた渡邊博史被告に強いシンパシーと興味を感じ、今回の手紙の公開に至ったと推察されます


黒子のバスケ脅迫事件の渡邊博史被告人の意見陳述を読みました。まず驚いたのが、私の拙著『解』(批評社)への言及がなされている点です。そして、さらに驚くのは、精神科医の香山リカ氏をもってしても「身勝手で理解不能」とされる『解』の内容、渡邊氏はかなり正確に理解できていることです。
今では、私としても『解』はかなりわかりにくいと思っており、コーヒー片手になんとなく目を通して理解できるものではないことはよくわかっていますが、そのような難解な文章をしっかりと読み説いてもらったことは、ありがたい話だと思っています。
しかし、「しっかり読む」だけで本当に全てを理解できるのでしょうか。
香山氏も、仮にも精神科医であるなら、対象に寄り添い、当事者から学ぶ謙虚な態度で『解』を読んだはずなのに、それでも理解不能だったのでした。一方で、理解できた渡邊氏が香山氏とどこが違うのかといえば、本人の能力の高さもあるのでしょうが、一番大きいのは,事件に至る体験を有していることだと思います。
貧乏人の苦労は金持ちにはわからず、金持ちの苦労は貧乏人にはわかりません。体験したことがない事柄については、どんなに言葉で説明されてもなかなか理解できないものです。
「秋葉原事件」加藤智大被告が「黒子のバスケ」脅迫事件に見解表明!


いわゆる有識者(ジャーナリスト、精神科医、犯罪心理学者)への不審感が、香山リカへの攻撃として表明される一方、渡邊博史被告への親近感が示されていますただし香山リカの立場を擁護すれば、精神分析を学んでいる彼女は当然のこととして「解」を主体の語りと、自我の語りとに分けて読み解こうとし、その上で「身勝手で理解不可能」と決めつけたのでしょう
ラカン派精神分析の考えから説明を加えると、主体の語りは主体の欲望の表現であり、あくまで隠喩として仄めかされるに留まります。その主体の語りを隠蔽し、誤魔化し、読み取れないよう偽装するのが自我の語りです。
「解」が分かりにくいのは加藤智大被告の自我が自分の本音である主体の欲望をひたすら誤魔化し、抑圧し隠蔽しようと無駄な話でっち上げ、延々と語っているからだ、と香山リカは看破したのでしょう
そう指摘されて加藤智大は激怒し、むしろ誤魔化しにすぎない無駄話を素直に読み取ってくれた渡邊博史被告に共感を示しているのが冒頭のくだりです
その上で、「犯罪を経験した者にしか分からないんだよ」と犯罪者同士、秘密の経験を分かち合っているがごとく書いているのですから、苦笑するしかありません
ここで指摘できるのは、加藤智大被告も渡邊博史被告も、その発表された膨大な手記では本音の部分を隠し、偽りの自己を延々と宣伝しているにすぎないという点です
加藤被告の「掲示板上での不細工・非モテ自虐キャラ」にしろ、渡邉被告の「マンガ家を目指して挫折した負け組」という設定にしろ、世間一般にとってはどうでもよい話であり、彼らの「ごっこ遊び」に付き合う必要性を感じないのです
しかし、加藤被告や渡邉被告はこうしたキャラ設定にこそ事件の真実があると言い張り、「ごっこ遊び」の中で自分が語られるのを望んでいます
もちろんこの「ごっこ遊び」は世間一般を真相から遠ざけるための作り話ですから、いくら踏み込んだところでどこへもたどり着けません
長くなりましたので、本日はここまでにします

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