名古屋大女学生殺人を考える2 有識者のコメント

名古屋大学の女子学生(19歳)が自室アパートで77歳の女性を殺害した事件について、2度目の言及です
本格的な取り調べはこれからであり、現時点で分かっている事実はそれほど多くはありません
ですから前回、当ブログでも触れたようにこの女子学生を「サイコパスだ」と決めつけたところで、事件の意味は読み解けません。「異常者による異常な犯罪」なのだと説明しても、納得する人はいないでしょう
さて、産経新聞が有識者の見解を記事にしていますので、一部を引用します
さすがに現時点で事件に関するコメントを求められても、判断材料が乏しいだけに慎重な言い回しにならざるを得ないのが伝わってきます


目的は殺人そのものか
「人を殺すという一点に欲求が集中している印象。他のことはまったく考えず犯行に及んだのだろう。だから遺体を隠すようなこともなかったのではないか」
刑事事件で精神鑑定を多く務めた経験のある臨床心理士で「こころぎふ臨床心理センター」代表、長谷川博一氏は女子学生の言動に強固な殺人願望を見て取っている。
女子学生が「殺して達成感があった」という趣旨の供述をしていることも判明。室内から過去の殺人事件に関する書籍も複数押収され、森さんの財布も現金が入ったまま残されていた。事件の目的が、殺人行為そのものだった疑いが強まっている。
未成年の少女による重大事件は昨年7月、長崎県佐世保市で高1女子が同級生を殺害する事件が起きたばかり。
長谷川氏は「これまで、一般的に少女はリストカットなどの自傷行為を行う傾向が強かったが、他人を傷つけるケースが増えている」と分析する。
衝動の引き金見逃すな
女子学生は中学生時代から凶器の手おのを所持しており、高校では同級生に毒物を飲ませたと供述。今回の事件に至るまで「前兆」のようなものがあったともいえる。
この点について、新潟青陵大大学院の碓井真史教授(社会心理学)は「欲求のはけ口の多い大人と違い、問題のある子供は必ず何かしらの兆候を見せる。おかしいと思ったとき、どれだけ周囲が動けるかが大切」と指摘する。
一方、「毒を飲ませることと、手おので直接人を殴るということには大きな開きがある」として、兆候を把握する難しさを語るのは、奈良女子大の岡本英生准教授(犯罪心理学)。
「女子学生は19歳になるまで、毒物事件はあったがそれなりに社会に適応できていたと思う。そうであれば、生活の変化など、急なストレスが殺人衝動の引き金となった可能性もあるのではないか」とみる。


社会不適応、学校不適応が昂じて殺人に走るケースもあるのですが(通り魔殺人のような不特定の人物を狙った犯行)、今回の事件の場合はそうと決め付けるわけにはいきません
進学校から国立大学へ進学している経歴だけを見れば、十分に適応していたとも判断できます
しかし、これも以前に述べたように学校の成績が優秀だから問題のない生徒(適応できていた)と理解するのはあまりに稚拙です
強いて憶測すれば、彼女は中学生時代から心の中に殺人への衝動が芽生え、その衝動を抱えながら生きてきたと考えられます
ただし、その殺人衝動に駆られるまま犯罪に走ったりはせず、なんとか抑制できていたのでしょう。あるいは殺人の衝動に煽られつつも、その衝動が何に由来するものであるかを彼女なりに考え、答えを模索していたとも想像できます
知的な能力が高いようなので、彼女が日記や手記の類を書き残していた可能性もあります
もちろんそこに、「◯◯の理由で人を殺してみたい」とはっきり書かれているとは限らず、幻想に彩られた不可思議な物語の断片が綴られているだけなのかもしれません。が、それはそれで判断材料になります

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