三鷹女子高生殺害を考える7 東京高裁で差し戻し

2013年10月、東京三鷹市で元交際相手の女子高生を殺害した池永チャールストーマス被告に対し、一審の東京地裁立川支部では懲役22年の実刑判決が言い渡されていました。しかし、二審の東京高裁は一審の決定は不当とし、差し戻す決定を下しています
端的な理由は、この事件で問題とされたリベンジポルノを裁判官・裁判員が情状に加えるのは容認されるものの、リベンジポルノ自体は起訴されていない(罪に問われていない)ものであるから、これを過大に受け止め量刑をに反映させるのは誤りだとの考えです。その他に、裁判前に検察側、弁護側、裁判官が協議をして争点を整理する段階で、内容に遺漏があったとする技術的な誤りも指摘しています
今回の差し戻しの理由・意義をまとめた記事を一部、引用します


東京都三鷹市で平成25年に起きたストーカー殺人事件の控訴審で、東京高裁が1審判決を破棄し、東京地裁に審理を差し戻した。リベンジポルノを過大視した判決を不当と判断した今回の東京高裁判決を含め、1審裁判員裁判を高裁が破棄して地裁に差し戻したケースは、平成21年から昨年末まで10件。制度開始から間もなく6年を迎える中、高裁や最高裁からは、評議のあり方や量刑に対する考え方など、裁判員裁判への注文が続いており、「裁判官がどんなことを重視しているのかについて、裁判員に積極的に説明しようという姿勢の表れではないか」との声もある。
昨年7月に最高裁が、傷害致死事件で検察側求刑の1・5倍の懲役刑を命じた裁判員裁判を追認した2審判決を破棄した際には、「過去の大まかな量刑傾向を共通認識として評議を深めていくことが求められている」と、刑事裁判の前提である量刑の公平性を重視した。その上で、先例とは大きく違う量刑を言い渡す際には「根拠を具体的、説得的に示すべきだ」とした。
また、裁判員裁判での死刑判決が控訴審で無期懲役とされた2件の強盗殺人事件に対する決定で最高裁は今月、死刑を言い渡す際に「各要素を総合的に評価し、公平性の確保も踏まえて議論を深める必要がある」とした。最高裁の判断はいずれも、裁判官が判決を検討する際の考え方を裁判員に示した形だ。
(以下、略)


記事では今回の差し戻し決定を、「裁判官がどんなことを重視しているのかについて、裁判員に積極的に説明しようという姿勢の表れ」だと肯定的に評価していますが、これには賛同できません
むしろ、「素人が裁判に口出しするな」とするプロの裁判官の姿勢の表れではないかと言いたくなります
裁判員制度が公式に発足した以上、これを頭ごなしに否定はしないものの、裁判官の中には自分の聖域を侵害されたような不快感を覚えている者も少なくないのではないか、と推測します。そして素人の介入によって営々と積み上げてきた過去の判例が無視される風潮に、「どうにも我慢できない」との反応が一審判決の否定の形になっているのではないか、と推察します
裁判員に注文を付けたいのならば最高裁判所名の通達でも出して、過去の判例
を重視しろと言えば済むわけです。裁判員に選ばれた人たちの費やした時間を無駄にするような差し戻し判決は不可解であり、不愉快です
過去の判例にとらわれすぎた結果、裁判所の判決が民意と乖離しすぎているとの批判をもとに、これを改善しようと発足したのが裁判員制度だったのですから、東京高裁の今回の判断は裁判員制度を頭ごなしに否定する暴挙だと思えます
差し戻し審では新たな裁判員が選ばれます。東京高裁の言いがかりに屈することなく、民意を反映した判決を下してもらいたいものです

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