佐世保高1女子殺害事件を考える11 有識者の見解

2014年7月26日、同じ高校の女子生徒を自宅マンションで殺害し、遺体を切断するという衝撃的な事件が長崎県佐世保市であり、高校1年の女子生徒が逮捕されています
この事件について当ブログでは度々言及してきたところですが、事件が長崎家庭裁判所に送致され、少年審判で決着が着くと予想される展開になってきましたので、改めて事件の動機などについて考えてみます
Wikipediaのまとめページでは、有識者の見解を次の4つに分け、掲載しています。(1)母親の死が犯行のきっかけという見解、(2)生活環境の変化が原因という見解、(3)父の再婚の早さについての見解、(4)それ以前からの問題を指摘する見解
ただし、これらのほとんどは事件直後、メディアからコメントを求められた有識者が具体的な判断材料もないまま手近な報道だけを拠り所に語ったものであり、十分な検討・検証の上で仮説を提示しているわけではありません
また、実母の死と父親の再婚の早さは複雑に絡み合った状況にあり、これを分けて考えるのは不適切でしょう
もちろん母親の死以前の、小学生時代に給食に異物を混入させた事件も無視できないのであり、彼女の攻撃的なパーソナリティの形成が母親の死をきっかけにしたものだと断定するのは誤りだと考えます
Wikipediaにある小宮信夫(立正大学教授) の「実母の死をきっかけとして母親のいる被害者に憎悪を抱いた」説、佐々木光郎(元家裁調査官。静岡英和学院大学非常勤講師)の 「勉強の面で親の期待に応えたいという思いが強く、それが母親の死で抑えこんでいたものが爆発した」説、桐生正幸(東洋大学教授)の 「思春期の最中に母親の死に直面し、人の死・生命の意味など強く意識した。そこから興味が生じ行動に出てしまったのだ」説、長谷川博一(臨床心理士) 「母親の死と父親の再婚が自身の孤独感に繋がり、仲の良い家族のいる友人への嫉妬が背景にある」説も、上記の母親の死がきっかけになったとする見解に含まれるのですが、極めて表層的な見方でしかないと自分は考えます
犯人である女子生徒と被害者は同じ中学出身であり、同じ部活に所属していたと報じられていますが、どこまで親密であったのかは不明です。「仲の良い家族のいる友人への嫉妬」を抱くほど、2人の関係は親密だったのでしょうか?
当然、現時点で出揃った判断材料を踏まえれば、上記の有識者の方々も別な仮説を提示する可能性があり、「的外れ」だと批判する意図はないと付言しておきます
私的な見解を記せば、彼女の攻撃的なパーソナリティはもっと早期に形成されていたと考えるべきでしょう。ただし、そのパーソナリティがスポーツ大会での頑張りなどに現れており、誰も危惧しなかった言えます。スポーツや学校の勉強で他者を打ち負かし、優位に立つのは称賛されるのですから
しかし、同級生からの中傷に怒りを抑えられず、給食に漂白剤を混入させるという報復行為に走っているのを見れば、彼女の攻撃性は口論で発散できるような陽性のものではなく、かなり陰湿な色合いのものだったと言えます
母親の死と父親の再婚を絡め、彼女の攻撃的なパーソナリティが制御できない状態に至った背景についてはまだまだ不明な点があります。家族内で何か重大な軋轢、葛藤があったのではないかと思うのですが
長くなりましたので、今回はここまでにします

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