ロシア政府が米映画「チャイルド44」を批判、上映禁止

日本でも公開されたアメリカ映画「チャイルド44 森に消えた子供たち」を巡って、ロシア政府のメジンスキー文科相が「歴史を歪曲し、ロシアを暗黒の地と描いている」と批判し、上映を禁止したと報道されています
娯楽作品である映画にマジギレし、上映禁止とは随分と過敏な反応です。ロシア人としては触れられたくない恥部(旧ソ連の暗黒時代)を、この映画が暴いているからなのでしょう


ロシア、米映画「チャイルド44」上映中止 旧ソ連の歴史歪曲と
【モスクワ】ロシアで15日、ミステリー小説を題材にしたハリウッド映画「チャイルド44森に消えた子供たち」の公開がキャンセルされた。
ロシアのメジンスキー文化相が、旧ソビエト連邦の「歴史的事実を歪曲(わいきょく)」し、ロシアを暗黒の地のように描いているとして、映画制作者らを激しく非難したためだ。
この映画は旧ソ連を舞台に児童連続殺人事件を調査する捜査官を追跡したもので、17日に公開が予定されていた。
メジンスキー氏は映画について、旧ソ連の市民が「肉体的にも道徳的にも人間以下で、汚らわしい(想像上の怪物)オークや墓荒らしの集団」のように描写されていると指摘。また、ロシアが「国家でなくモルドール」に似せられていると憤慨した。モルドールとはJ・R・R・トールキンの小説「指輪物語」に登場する陰気な「中つ国」のこと。
(ウォールストリートジャーナルの記事より引用)


映画はもちろんドキュメンタリーではなく、フィクションです。それに噛み付くのもどうかと思うのですが
映画「チャイルド44」そのものについては前回、当ブログで触れたので割愛します
旧ソ連時代の暮らしが、汚らわしいオークや墓荒しの集団に近いものであったとの指摘はかえって的を射ているように聞こえます
スターリンの独裁時代には2000万人以上が粛清の対象となり、銃殺されたり強制収容所で死亡したり、集団農場で飢え死したと言われます。もちろんそれ以外の犯罪も山ほどあったわけであり、理想的な社会主義建設が健全なものなどではなく、多くの犠牲者の上に推し進められた虚構であり幻想に過ぎなかったのは言うまでありません
そして「健全な社会」とされた旧ソ連の闇として、連続殺人鬼がいたわけです
ロシア政府になってからも、旧ソ連時代の政府文書の多くは非公開のままであり、スターリンの粛清に関しても事実は伏せられたままです。事実を公表してしまうとあまりに衝撃が大きく、ロシア人のアイデンティティを破壊する危険があるからなのかもしれませんし、旧ソ連時代に粛清に手を貸した大勢の軍人・秘密警察関係者を守る必要があるからなのでしょう
さて、映画を批判するならロシア政府が自ら反証のため、アンドレイ・チカチーロ事件のドキュメンタリーでも制作してはどうか、と言いたくなります。もっともこの場合、ドキュメンタリー=真実ではなく、あくまでもロシア政府にとって都合の良いエピソードや証言を並べた「ドラマ」なのでしょうが

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