日進強盗殺人事件を考える3 警察の臆見

愛知県日進市で高校生の男子生徒が65歳の男性を刺殺し、逮捕されたた事件の続報です
警察は二転三転する男子生徒の供述に手を焼いているようですが、その背景には「警察の見解」にそぐわない供述を排除し、あくまでも警察の描いた筋書き通りの供述を得ようとする姿勢が見て取れるように感じます
毎日新聞の記事を以下、引用します


愛知県日進市の歩道で自治会長の川村典道さん(65)を刃物で殺害し、ショルダーバッグを奪ったとして、強盗殺人容疑で逮捕された高校3年の少年(17)が「バッグが欲しくてやった」などと殺意も含めて全面的に容疑を認める供述を始めたことが捜査関係者への取材で分かった。少年は当初、強盗目的や殺意を否認していたが、供述を変遷させていることから、愛知県警が慎重に裏付け捜査を進めている。
捜査関係者によると、少年は当初から一貫して強盗目的を否認していたが、調べの中で「ショルダーバッグが欲しかった」と供述を変えたという。バッグの中には物色した形跡があったことから、県警捜査本部は金を奪うつもりで襲ったとみて追及していた。
また、少年は、川村さんを刺したことを認める一方、殺意については否認していたが、襲う直前には殺意を持っていたことも認めているという。
少年が家を出る段階で凶器のサバイバルナイフを所持していたことや、事件前からパソコンやスマートフォンで殺人の方法を調べており、川村さんが殺傷力の高い刺し方で刺されていることなどから、川村さんと出くわす前から殺意を持っていた可能性が高いとみて調べていた。
少年は7月12日夜、同市梅森町の歩道で、川村さんの首や顔など10カ所以上を執拗に刺して失血死させ、現金約6000円の入ったショルダーバッグを奪ったとされる。これまでの調べで、川村さんを狙った理由については「嫌いな祖父に似ていたから」と供述し、執拗に刺したことについては「抵抗されたので無我夢中でやった」などと話していた。川村さんには抵抗した際にできた傷はなく、捜査本部はうそを交えた供述をしている可能性もあるとみて調べていた。


警察は最初から金目当ての犯行、との筋書きにそって立件を目指しているのでしょう。しかし、それでは事件の意味を読み違えるだけでなく、被疑者である少年の心の奥底にある欲望や葛藤、恐れや衝動などなどまでも読み違えてしまう危険があります
もっとも、警察は事件を起こした男子高校生の内面など理解するつもりなど最初からないのであり、検察庁に事件を送検するために形式の整った供述調書、実況見分、証拠を揃えようとしているだけなのでしょう
すでに指摘しているように、被害者である男性はコンビニエンスストアで買い物をした後、店から後をつけてきた男子高校生にナイフで刺されています
買い物をした男性がズボンのポケットに財布をしまう姿を見ていたはずであり、その財布は奪われていません。約7万円もの金が入っていた財布を奪わず、ショルダーバッグを奪っています(その後、バッグを道端に捨てて逃走)
これで「金目当ての犯行だった」とか、「ショルダーバッグが欲しかった」などと犯行の目的を決めつけ、その筋書きで供述調書を取ろうとするのはあまりにも愚かしいやり方でしょう
被害者である川村さんの首や顔など10カ所以上を執拗に刺したのは、ナイフを振るって人を刺す行為そのものが目的だったと自分には思えるのですが、警察はそうは考えないのです

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