三重・高3女子刺殺事件を考える1 殺害を頼まれた

9月28日、三重県伊勢市で高校3年生の女子生徒が同級生の男子生徒に刃物で刺され死亡する事件がありました
当初は男女関係のもつれで殺害されたもの、との見方もあったのですが、刺した男子生徒は「死にたいから、殺してくれと頼まれた」と供述しており、目撃者もないため、状況が混乱して事件の全体像がつかめませんでした
多少なりとも状況の整理がついたと見られる報道がありましたので、取り上げます。ただし、当事者の間でしか確認できない部分もありますので、この報道がすべて真実と決めつけるわけにはいきません


三重県伊勢市の山林で同県松阪市久保町の私立高校3年、波田泉有(はだ・みう)さん(18)が殺害された事件で、遺体からは抵抗した際にできる目立った外傷がないことが30日、捜査関係者への取材で分かった。殺人容疑で逮捕された同級生の男子生徒(18)が「頼まれてやった」という趣旨の供述をしているほか、波田さんが「死にたい」と口にしていたとの情報もあり、三重県警は慎重に捜査している。
2人の同級生によると、男子生徒は波田さんと同じ高校の遊び仲間だった。波田さんらと5~6人で、昼休みに毎日のように弁当を食べ、休み時間にも集まって談笑していたという。
捜査関係者によると、波田さんの遺体には死因となった深さ約15センチの左胸の刺し傷1カ所以外に争ったり、体をかばったりしたような目立った防御創がなかった。司法解剖では刃が心臓まで達していたことや、死因が失血死だったことが判明している。県警によると、男子生徒と波田さんは事件当時2人きりだった。
同級生や近所の住民によると、逮捕された男子生徒は「おとなしいタイプ」だったという。中学時代に卓球部で後輩だった男子高校生(17)は「卓球部では仲良しグループのまとめ役で、けんかの仲裁をするなどしていた。頼まれたからと言って殺すとは思えない」と話していた。
(産経新聞の記事から引用)


なぜ波田さんが死にたがっていたのかは不明です。彼女は過去、別の高校に通う男子生徒と家出をしていたとの報道があります。この家出が心中するためのものだったとすれば、以前から誰かを道連れに死のうとしていた、と解釈できます
「道連れ」を求めたのは1人で死ぬのは怖かったのか、寂しいからなのでしょう
「好きな彼氏と一緒に死ぬ」という、甘美なイメージにすがっていたのかもしれません。その是非を論じることは、今回しません
別の報道によれば、波田さんと刺した男子生徒はともに母子家庭で、同じ境遇で生きてきたようです。だからこそ波田さんはこの男子生徒に、「殺してくれ」と頼んだと想像されます
男子生徒の方は高校卒業後の進路も固めていたようで、波田さんと心中するつもりなどなかったのでしょうが、さりとて「殺してくれ」との依頼を断ることもできなかったと推察されます
「こいつの気持ちを分かってやれるのは自分しかいない」とも思いからか、「(いろいろ悩みを抱えながら)オレを最後に頼ってきた」と感じたからなのでしょうか?
だからこそ、教師にも友人にも相談せず、彼女を自らの手で殺す選択をしたものと考えられます
もちろん、甘美な青春の一コマだとこの事件を決めつけようとは思わないのであり、この男子生徒の決断は大間違いです。この男子生徒が拒絶したなら、波田さんはまた別の男に「殺してくれ」と持ちかけた可能性が大だとしても以上は自分の憶測であり、そうだと断定する根拠はありません
18歳で死に急ぐ愚かさをとやかく言っても手遅れですが、波田さんは自分を刺した男子生徒がどのような処罰を受けるのか、どれだけの精神的なダメージを被るのか、彼の人生がめちゃくちゃに壊れてしまう危険を考慮もせず、ただ自分を殺してくれと要求したのでしょう
刺した男子高校生について、津地方検察庁は鑑定留置を請求したと報じられています。約3ケ月ほど精神鑑定を受け、それから津地検は事件と高校生の身柄を家庭裁判所に送致することになりますので、年を越します。高校が彼を退学処分にするかどうかはまだ分かりませんが、出席日数不足で来春の卒業は無理でしょう。かくして彼の人生は大きく狂うことになります

(関連記事)
三重・高3女子刺殺事件を考える2 自殺の遺伝子
三重・高3女子刺殺事件を考える3 悩み相談
人吉市女子高生殺害事件 赤石受刑者が自殺
人吉市女子高生殺害事件 懲役18年の判決
人吉市女子高生殺害事件 自殺の道連れ?
人吉市女子高生殺害事件 47歳の恋人
広島少女遺棄事件 主犯少女に懲役13年判決
広島少女遺棄事件 少年少女たちの刑罰
広島少女遺棄事件 無軌道な少年少女の暴走
広島少女遺棄事件 7人で集団暴行か?
16歳少女を殺人、死体遺棄で逮捕
三重・中学生殺害事件を考える 犯行の狙い
三重・中学生殺人を考える2 「金目当ての犯行だった」
三重・中学生殺人を考える3 地元の反応
三重・中学生殺人を考える4 記憶にないと主張
三重・中学生殺人を考える5 懲役5年以上9年以下
町田 読者モデル女子高生殺害事件を考える1 幼なじみ
町田 読者モデル女子高生殺害事件を考える2 どこまでが発達傷害なのか
福岡女子予備校生殺害 鑑定留置後、起訴へ
福岡女子予備校生殺害 公判は始まらないまま
台東区放火殺人の高校生 懲役4年以上7年以下判決


自殺の心理学 (講談社現代新書)
講談社
高橋 祥友

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by 自殺の心理学 (講談社現代新書) の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル