三重・高3女子刺殺事件を考える2 自殺の遺伝子

9月末、三重県伊勢市で高校3年の女子生徒が同級生の男子生徒に刺殺された事件について、2度目の言及です
「殺してくれと頼まれたので刺した」とする男子生徒の言い分どおり、嘱託殺人なのかどうかは、今後の捜査や裁判に委ねるとして、事件について「自殺に遺伝子が影響した可能性」を指摘する記事がありますので、取り上げます


(前略)
■心理療法の専門家が指摘する危険性
心理カウンセラーで『インサイト・カウンセリング』(東京・港区)代表の大嶋信頼さんは、「人格が割れている可能性がある」と見立てる。
「彼氏以外の男性と家出したり、自殺願望があることと、反省して学校に休まず通うところや看護の道に進みたいと思うことは、対照的ですよね。二面性が見えるのは、危ない。死にたいと思って異性と家出し、帰ってきたら一気に衝動がなくなったかのように見えたのは、かえって注意が必要だったと思います」
自分を殺して……と頼む心理状態に関して、大嶋さんは「家庭環境などの背景が詳しくわからないと診断は難しい」と前置きしたうえで、「リストカットの痕があったり自殺願望を周囲に漏らしていたとなると、自殺の遺伝子を持っていたことも考えられます。2、3親等まで遺伝する自殺遺伝子というものがあるんです。これを持っていて、何かの要因でスイッチが入ってしまうと、自殺してしまう可能性が高くなります。防ぐことはなかなかできない」
大嶋さんはまた、18歳という年齢の危険性を指摘する。
「性ホルモンが多くなるこの年ごろは、妄想的になったり思い込みが激しくなりやすい。衝動的になることもあり、危ない時期なんです。しかし手首を切ろうとしても“血管が逃げる”といいますが、うまく切れないことがある。何度も失敗しているから、誰かに頼んで……となった可能性もある。どうしても死にたくてしょうがないから、確実な死を選んだのかもしれません」
死に傾倒する波田さんの危うさは、周囲も気づいていた。
だからあの夜、波田さんや逮捕された男子生徒の行方を、同級生や保護者は必死で捜し続けた。犯行後、男子生徒が無料通信アプリ「LINE」に居場所を書き込むと、彼らは一斉に駆けつけた。現場に駆けつけた同級生は、「(加害少年は)放心して座っていた」と学校に伝えている。
犯行時刻は午後5時過ぎ。友人らによって119番されたのは同9時過ぎ。スーパームーンが照らす雑木林の中で少年は自分のしてしまった取り返しのつかないことから逃れられず、われを失っていた。
(週刊女性の記事から引用)


さて、自殺を誘発させる遺伝子なるものが実在するのでしょうか?
マウスの実験で「自殺遺伝子」が確認されたとのニュースはありましたが、人の遺伝子でそのような因子が特定されているのかは不明です
ただ、昔から「自殺者の多い家系」というものが存在するのは確かです。だからといって遺伝によるものだと断定はできません
自殺を企てるほど問題の多い家系(人間関係だったり、金銭問題だったり、病気だったりと原因はさまざまですが)では、それぞれが負因を背負っていると考えられますので、自殺という結果が現れるのは必然とも言えます
上記の事件の場合、女子生徒の親やその親族に自殺者がいたのかどうか、そうした親族の自殺が彼女の人格にどう影響したのか検討しなければ、結論は出せないと考えます
また、日本の30歳以下の若者の死因としては「自殺」がもっとも多い、と指摘されています。今回の事件は男子高校生による殺人ですが、中身を見れば自殺と変わりありません
それだけ「自殺を誘発する遺伝子」が広く、日本人の体内に存在していると考えるべきなのでしょうか?(皮肉です)
むしろ若者が自分の価値を低く感じ、「自分など生きていても仕方がない」とか、「死んでしまいたい」と思いこむような社会に問題があると考えるべきなのでしょうか?

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