町田 読者モデル女子高生殺害事件を考える1 幼なじみ

産経新聞には時折、過去の事件を振り返る特集記事が掲載されます
今回は2005年に東京町田市で起きた、同じ高校に通う女子高生を殺害した事件を振り返る特集が目につきましたので取り上げます
雑誌の読者モデルもしていたという女子高生に恋い焦がれた挙句、彼女を包丁で執拗に切りつけ、殺害するという陰惨な事件でした。犯人として逮捕された男子高校生は、被害者と小学校も中学校も高校も一緒であり、いわゆる幼なじみの関係にあったのですが、彼の思いは結局独りよがりの片思いでしかなかったと言えます


町田・同級生刺殺事件 「読モ」のクラスメートへの叶わぬ恋心…「うざい」で憎しみに一転し…
声をかけてくれたクラスメートに恋した少年。恋い焦がれ、無視されたすえに出した「刺殺」という結論。東京都町田市の高1女子刺殺事件から10日で10年がたつ。
少年は刺殺後、父の墓を見下ろす山に凶器を捨てた。うっそうとした山林は事件当時のままで、少年の父の墓もあのときと同様にひっそりとたたずむ。暴走した片思いの果てに犯行に及んだ少年の心境は、はたして変わったのだろうか。
(加藤園子)
一声で「気になる存在」に
「試験頑張れ」
少年が高校受験を前にした平成17年1月。同じ中学校に通う同学年の女子生徒が声を掛けてくれた。女子生徒が少年に声を掛けるのはこれが初めてだった。
女子生徒は中学1年時に読者モデルを務め、クラスでも目立つ存在だった。周囲から孤立していた少年にとって、その日から女子生徒は急に「気になる存在」となった。
2人は同じ高校に進学した。しかしやがて女子生徒からメールの返事がなくなる。
学校であっても知らんぷり。無視されている理由を尋ねようとして帰ってきた予想外の言葉にショックを受けた。
「うざい」
恋心は敵意に変わり、そして殺意となった。
(以下、略)


残念ながらこの産経新聞の記事は犯行当時の経緯を省略しており、事件の概要までは含んでいません。また、当ブログでも字数制限がありますので、詳細を述べるのは無理があるため、当時の報道を押さえているブログを紹介しておきます


町田の女子高生刺殺事件で、元同級生に懲役11年・・・少年法ってなあに??


上記の産経新聞の記事では触れられていないのですが、犯人である男子高校生は広汎性発達障害とされ、刑事裁判では罪一等を減じるかどうかが争点になりました。父親を亡くし、母子家庭となった環境の中で生活していた彼は、内向的で他人と交流するのが苦手と見られていたものの、結局事件を起こすまでは親も教師も彼の広汎性発達障害には気がつかなかったのでしょう
ただ、留意しておくべきなのは広汎性発達障害ではあっても、早い時期から適切な療育・訓練を積めば社会適応能力を高める可能性はあり、皆が皆、犯罪に走ったりはしません
彼の場合は不幸にして、事件を起こしてから広汎性発達障害だと判明したケースであり、それは被害者である女子生徒との関係に如実に現れています
小学校・中学校と同じであった彼女に、彼は一方的に好意を寄せます。彼女は幼なじみの1人として接していただけで、格別好意を抱いてはいなかったのでしょう
しかし、彼の方には彼女の心情を思いやったり機微を読むよな真似はできず、彼女がつきまとわれて迷惑がっても、それを理解できなかったと推察されます
彼の方は憧れや好意を超え、彼女に恋い焦がれるようになっていったと思われますが、所詮は独りよがりでしかなく、気持ちは通じていなかったのです
そこからは一直線で、彼女の裏切りを責め、殺してやろうと思い極めるまで時間はかからなかったのでしょう。当然、怒りをコントロールする訓練もしていないのです
から、攻撃衝動のまま犯行に至ってしまったわけです
当時、暴走族の少年がケンカで相手を死なせてしまったという事件なら、少年院送致もあったのですが、本件は明確な殺意をもって犯行に及んでおり、少年審判ではなく刑事裁判へ送る判断は適切なものだったと考えます
ただ、懲役11年という刑期の中で自身の発達障害と向き合い、足りない社会適応能力を補い改善しようという気になれるかどうかは分かりません
次回はもう少し違う視点から事件を考えようと思います

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