老人ホーム3人転落死 今井容疑者は自己愛障害?

川崎市の老人ホームで入居老人を次々とベランダから投げ落とし、殺害した今井隼人容疑者(23)は、警察の取り調べに対し「入居者である老人の言動に腹が立ったからやった」との供述をしているようです
ZAKZAKでは今井容疑者について精神科医のコメントを求め、「強い自己愛性パーソナリティ」とする見解を載せています
ただし、精神科医も直接診察をして病名を挙げているのではなく、参考意見として扱うべきでしょう


同容疑者は任意の事情聴取で「入所者の言動に腹が立って転落させた」という趣旨の話を、逮捕後は「むしゃくしゃして投げ落した」と供述していることも判明。県警は詳しい動機や経緯の裏付けを進める。
今井容疑者は事件発覚後の昨年9月、夕刊フジの取材に「自分が(転落事故への関与を)疑われているのは感じている。警察もそういった目で見ているのかなと…。ただ、私は(関与)していない」と語っていた。他の複数のメディアにも登場し、再三、身の潔白を主張していた。
ヒガノクリニックの院長で精神科医の日向野春総氏は「その言動や犯行の様態などから自分さえ良ければいい、というメンタリティーを強烈に感じる。典型的な自己愛性パーソナリティー障害の特徴を持っている」と指摘する。
今井容疑者は同施設で約1年間働いたが、昨年5月には別の入所女性の財布を盗んだとして県警に逮捕され、懲戒解雇された。
この窃盗事件の公判のなかでは、今井容疑者が「大学の救命センターの仕事を掛け持ちし、金はある」と嘘をつき、飲食代などを同僚におごった揚げ句に金銭が枯渇。入所者の現金や貴金属を盗んでいたことなどが発覚した。
「嘘をついて自己を大きく見せるのは自己愛が肥大した人格の特徴だ。メディア取材を受けたのも、一方的に自分の主張を発信するためだ。自分の世界に浸りきって他者とうまくコミュニケーションが取れない半面、職場で接する老人を『人格』とみなしていなかった。『物』として扱っていた恐れがある」(日向野氏)
窃盗どころか殺人にまで行為がエスカレートした理由は何か。
「自己愛が強い余りに、自分の考えを押し通すためには手段を選ばない。(さまざまな意味で)自分のテリトリーをおかされれば凶暴性を発揮する。自分の領域を守るために阻害要因は全て排除するという思考だったのだろう」(同)
心の闇の解明はこれからだ。


末文でわざわざ「心の闇の解明はこれからだ」と記しているものの、刑事事件としてはその犯行動機を厳密に特定する必要はありません。通常は「殺意があったかなかったか」が問われ、殺人罪を適用するか傷害致死罪を適用するかが裁判の争点になります
しかし、本件では4階のベランダから投げ落としており、言うまでもなく殺す気だったと認められます。これで「殺意はなかった」と釈明しようものなら、裁判官ものけぞってしまうでしょう
さて、自己愛性パーソナリティ障害は人格障害に分類されます。あくまでも人格の偏りが行動に影響を及ぼしているとの診立てであり、精神異常というわけではありません
老人のさりげない一言にプライドを傷つけられたと激発し、相手を殺さずにはいられないほど憎悪を募らせ殺人に走ってしまう、と本件の場合は解釈されます
今井容疑者の場合、「大学の救命センターの仕事も掛け持ちしている」との嘘に注目するべきでしょう。テレビドラマの影響なのかどうかは分かりませんが、そうした大変な職場での仕事をこなしているオレ様、を演じていたものと考えられます
看護師でもない今井容疑者が救命センターで働く機会などあるはずもなく、そんな嘘をついて見栄を張るところに病理を感じます
本人は自分の嘘に酔っていますから、異常な発言だとは微塵も思っていません
しかし、周囲の人からすれば違和感ありありだったと推察されます
にも関わらず、運営会社の「積和サポートシステム」の幹部社員たちは、今井容疑者の不自然な言動にまったく気がつかなったようであり、不可解です
自己愛性パーソナリティ障害の人は、一見は理路整然と物事を語り、説明できる人が多いのですが、そこに不自然さ、嘘、自己擁護がまじっています。総じてプライドが高く、言動の矛盾や行動の不自然さなど指摘されると激怒したり、執拗なまでに反論してくるためカウンセリングの場では扱いが難しいタイプです

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