多摩川中1殺害事件を考える10 求刑10年以上15年以下

3日連続で開かれた公判の最終日、検察は懲役10年以上15年以下を求刑したと報じられています
想定された通りの、過去の量刑基準からすれば妥当な求刑ですが、事件の陰惨な内容からすれば「甘すぎる」との声も多いようです


川崎市の多摩川河川敷で昨年2月に起きた中学1年、上村遼太さん=当時(13)=殺害事件で、殺人と傷害の罪に問われた無職少年(19)の裁判員裁判の第3回公判は4日午後も横浜地裁(近藤宏子裁判長)で続き、検察側は「数ある少年事件の中で特に悪質性が高い」として、不定期刑の上限の懲役10年以上15年以下を求刑した。判決は10日。
検察側は論告で「(起訴された3人の中で)主導的で、主犯格として最も重い責任を負うべきだ」と指摘した。
これまでの被告人質問で少年は「最初は脅すつもりで切り付けたが、やめられなくなった」「救急車を呼ばれて、逮捕されるのが怖かった」と経緯や動機を供述した。
(産経新聞の記事から引用)


インターネットのニュースサイトのコメント欄には、「こんな判決を下す裁判官はおかしい」といった書き込みが見られます。求刑と判決の区別もできないまま、コメントを書き込むのはあまりに愚かしい行為です
裁判制度や刑罰についても無理解のまま、調べようともせず言いたいことだけ言う、との態度は嘆かわしい限りです
さて、最終日の公判では船橋被告の父親も出廷しています
少年の父親は、少年の性格について「口数が少なく、心に秘めてしまうところがあった」と語り、「相談に乗っていればよかった。遺族に謝罪したい」と述べた。今後については「会話を広げ、深く絆を持ち、(更生を)サポートしたい」と話した。
一方、検察側は少年が飲酒した後、通行人を鉄パイプで殴りけがをさせたとして平成25年に保護観察処分となっていたことに触れ、その後の少年の飲酒状況を確認していたか質問。父親は「はっきりと確認していなかった。息子を信じていた」と述べた。
(産経新聞の記事から引用)


これは記事を書いた記者の理解不足でしょうが、「口数が少なく、心に秘めてしまう云々」は少年の性格ではなく、対父親の態度です。暴力的で有無を言わせず、自分の意見に従わせようとする父親の態度が、少年をして「何を言っても無駄」との諦めにつながり、父親に対して素直になれないよう仕向けたと解釈すべきでしょう
船橋龍一被告が数々の問題を起こすようになったとき、父親は説教をしたり殴りつけるだけで、息子の心情を理解しようとはしなかったと思われます
必要なのは「相談に乗る」ことではなく、気持ちを汲み取るための洞察力です
これでは、「なぜ相談しなかったのか」と責めているも同然であり、こどもの心情に寄り添う態度ではありません
判決については情状酌量の余地もなく、減刑すべき事由もないので求刑通りの判決が言い渡されるのではないでしょうか?

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