中国に衝撃 「STAND BY ME ドラえもん」 

中国の新華社といえば、中国政府の見解を代弁するメディアの1つです
その新華社が中国で公開された劇場版「STAND BY ME ドラえもん」のヒットを踏まえ、あらためて日本のソフトパワーの強さを認める論評を掲載したと、サーチナが紹介しています
中国において「STAND BY ME ドラえもん」は昨年6月に30日間の期間限定で公開され、興行収入は円換算で105億円に達しました。中国でのアニメーション劇場版の興行「カンフー・パンダ2」が115億円を記録しており、これには届かなかったものの、画期的な成果でしょう。興行期間がもう少し長ければ、確実に上回ったはずです


漫画やアニメは日本が世界に誇る「日本文化」の1つだ。反日感情が根強く存在する中国でも、日本のアニメを知らない、もしくは一度も見たことがないという人はおそらく皆無だろう。それほど日本のアニメや漫画は中国でも広く浸透している。
中国メディアの新華社はこのほど、中国社会科学院の関係者の見解として、映画「STAND BY ME ドラえもん」が中国で大ヒットを収め、さらに中国人旅行客が日本で爆買いし、「爆買い」という言葉すら中国で市民権を得るほど浸透した事例から、「日本のソフトパワーの強さを見て取れる」と伝えた。
記事は映画「STAND BY ME ドラえもん」が中国で大ヒットした背景には、幼少期にドラえもんを見て育った中国人たちが今、親になって子どもと一緒に映画館を訪れたためと主張。ドラえもんの登場人物やストーリーは1980年代生まれの中国人にとって「忘れがたい記憶」として脳裏に焼き付いているのだと紹介した。さらに、日本を訪れる中国人旅行客が近年増加を続け日本で大量の消費を行い、「爆買い」という言葉も生まれたと伝えつつ、「爆買いという事例から、日本のソフトパワー構築が成功を収めたことが見て取れる」と主張。
中国人が日本を訪れ、日本で消費を行うのは日本製品の品質だけでなく、日本の秩序や清潔さといったものが「ソフトパワー」として中国人を惹きつけているためであり、中国に大きな影響をもたらすほど日本のソフトパワーは強大であるとの見方を示した。
日本政府はクールジャパン戦略を推進しているが、これは日本のさまざまな文化を世界に広めようとするものだ。言わば日本のソフトパワーを世界に向けて周知徹底するための戦略とも言える。ソフトパワーの拡大に取り組んでいるのは日本だけでなく、韓国も同様であり、韓流ドラマや音楽はその代表的なコンテンツだ。
また、米国はハリウッド映画をソフトパワー拡大の重要なコンテンツと位置づけている。
国家同士の闘いは軍事などのハードパワーからソフトパワーへとシフトしているが、日本には魅力的なコンテンツが豊富に存在し、アニメや漫画をきっかけに日本を好きになったという外国人も多い。また、欧州の有名なプロサッカー選手のなかには、漫画「キャプテン翼」のファンだという選手も多いほか、アニメや漫画に登場する実在の場所を訪れたいがために訪日する外国人も少なくない。日本のソフトパワーはまだまだ大きな潜在力を秘めていると言えそうだ。
(サーチナの配信記事から引用)


さて、「ドラえもん」の上映が30日間の期間限定だったのは中国政府の政策による制限の結果です。中国政府は外国映画の上映にさまざまな制限を課しており、年間に公開されるのは30本まで、となっています
外国映画による影響を「有害」だと認識しているとか、「外国映画に金を払うのはけしからん」とするカビの生えたような思想がいまだ健在だったりとか、さまざまな理由があります
しかも公開される映画のうち、ほとんどがアメリカ映画であり、日本の映画は2012年の尖閣諸島事件以降、劇場公開されていませんでした
「ドラえもん」に関しては地方紙「成都商報」が、日本のアニメ大使との任命を受けている点を取り上げ、「日本政府による文化侵略の一環だ」と批判する論評を掲載していますが、中国共産党の公式機関紙である人民日報は、この種の論評を「過剰反応」と断じ、ドラえもんが中国に悪影響を及ぼすとの考えは被害妄想に過ぎるし、侵略のイデオロギーと結びつけるのも突飛だ、と批判しています
「たかがアニメごときで中国共産党の支配が揺らいだりはしない」と自信を示したかったのかもしれません
ちなみに過去、中国で公開された劇場版「ドラえもん」は成功とは言いがたい興行結果でした
「のび太の恐竜2006」は4億円、「のび太の新魔界大冒険」は3億円、「のび太と緑の巨人伝」が1億円という結果です。興行の規模が不明なので何とも言えないのですが、テレビシリーズとは別のオリジナルストーリーの長編は中国でウケない、との指摘もありました
今回は「のび太とドラえもんの出会いから別れ(「さようならドラえもん」)まで、漫画の名作エピソードをつなぎ合わせており、懐古にふける大人も、ドラえもんを初めて見る子供も楽しめるものになっている」(環球時報)からこそ、ヒットしたのでしょう
さて、今後制作されるであろう新たな劇場版「ドラえもん」は、中国で観衆の支持を得られるのでしょうか?
日本のソフトパワー云々に関してはこれまでにも言及してきましたので、今回は触れないでおきます

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