和歌山小5刺殺事件を考える8 懲役16年の判決

2年前、和歌山県紀の川市で小学5年生の森田都史君を刺し殺し、起訴された中村桜洲被告(24)に対し、和歌山地方裁判所は懲役16年の判決を言い渡しています。検察側は懲役25年を求刑していました
求刑に対して大幅な割引きとなったのは、心神耗弱状態にあったと裁判所が認めた結果であり、罪一等を免じた形になっています
殺害された森田君の父親は出廷して中村被告と対峙し、「なぜこどをも殺したのか?」と問い詰めましたが、明確な回答はありませんでした
父親は「無期懲役を望む」と表明していたのですから、懲役16年の判決には不満でしょうし、心神耗弱と認めた点にも不満でしょう
公判時の様子を伝える報道です


和歌山県紀の川市で平成27年2月、市立名手小5年の森田都史君=当時(11)=が殺害された事件の裁判員裁判が13日午後も和歌山地裁(浅見健次郎裁判長)で続いた。殺人などの罪に問われた同市の無職、中村桜洲被告(24)は被告人質問で、近所に住み、屋外でも遊んでいた森田君について「うるさく、迷惑だから刺した」と述べた。
さらに「家の前で棒を振っていることがあり、怖かった」と述べ、護身用に購入した刃物で心臓などを刺したと説明。「森田君と兄(15)に嫌がらせを受けていた。殺害するのはどちらでも良かった」などと主張した。
この日は被害者参加制度に基づき、森田君の父親(69)も「私の子供をこのような事件に巻き込んだことをどう思うか」「この気持ちをどこにぶつけたらいいのか」などと涙声で質問。中村被告は無言のままだったが、質問が終わった後に弁護人に促され、小さな声で「申し訳ございません」と頭を下げた。
起訴状によると、被告は15年2月5日、自宅近くの空き地で森田君の胸を刃物で突き刺すなどして殺害したとしている。
(産経新聞の記事から引用)


検察の論告求刑に関しては、以下のように報じられました


中村被告は事件当時に心神耗弱状態だったとされており、量刑が最大の争点。公判では、事件後に精神鑑定を行った鑑定医が、被告が統合失調症または妄想性障害を発症しているとした上で、「(刑事責任に)全く問えないということはない」と証言していた。
検察側は論告で、被告が犯行後に血液が付着した凶器を洗い流したことなどから、「事件の発覚を遅らせようとするなど目的にかなった行動をとる力があった。厳しい非難を加えることは十分に可能」と主張。
被害者参加制度に基づき、都史君の父親(69)が代理人弁護士を通じて「本来は極刑を望む」とした上で無期懲役を求める求刑意見を述べた。
一方、弁護側は、妄想が犯行に影響していたと主張。「すべては被害妄想から始まった。治療やカセリングが必要」とし、情状酌量を求めた。
(産経新聞の記事から引用)


森田君とその兄が中村被告を侮蔑し、揶揄したことが、中村被告には心理的な圧迫となり、攻撃されていると受け止めるに至ったのでしょう
中村被告にはある種の発達障害があり、周囲とうまく交流できないハンディキャップのため中学生時にはクラスで孤立し、高校では中退するに至っています
そのため、森田君と兄による攻撃が中村被告を追い詰め、「反撃しなければやられる」との被害妄想に突き動かされ、殺害に至ったと考えられます
殺害された盛田君を咎めるつもりはありませんが、中村被告を馬鹿にし嘲るような真似をしたのは事実でしょう(こどもゆえの、分別を欠いた行動です)
判決の趣旨は以下のようになっています


浅見裁判長は判決理由で、被告が事件当時、森田君に襲われるかもしれないという被害妄想の影響で心神耗弱だったと認定。一方で「妄想の影響は限定的。心神耗弱状態で刃物を使った殺人事件の中でも極めて悪質な部類と言える」と述べた。
さらに、「何ら落ち度がなく、抵抗していない被害者を何度も刺したのは執拗かつ残忍」と指摘。謝罪する一方で起訴内容を何度も否認しており「心から反省したとは言えず、人命を奪った重大性を未だに理解していないとみられ、刑事責任は重い」と述べた。
(産経新聞の記事から引用)


「何ら落ち度のない被害者」とされた部分には賛成できません
加えて中村被告が心から反省しているように見えないのは、事態をいまだ理解できず、自分が裁判で罪を問われている状況が認識できないからだろうと推測されます
当然、精神鑑定では知能検査も行っているはずで、IQは70から80くらいではないかと推測されるのですが、どうだったのでしょうか?
言語能力が劣っており、そのため自分の気持ちを表現したり、相手の言わんとしているところを察知する能力に問題がありそうです
ですから、実際のところ裁判でのやりとり(検察側の質問も含め)、ほとんど理解できていないでしょう
本来ならば小学生時に普通学級に通わせるのではなく、養護教育の対象とする必要があったのかもしれません。もちろん、中村被告の両親は息子が知的なハンディキャップを抱えている事実を頑として認めなかったのでしょうが

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