「悪者が味方になる日本アニメ」を評価する中国メディア

日本のアニメや漫画に対する中国メディアの論評を数多く取り上げてきましたが、総じて底が浅い見解が目立ちます。物語に深く分け入って構成の妙を理解したり、登場人物たちの内面の変化を汲み取る洞察力に乏しいためでしょう
単純に表層部分のストーリー展開しか理解できないため、論評も稚拙になるのは仕方のないところなのかもしれません
今回はサーチナが3月に配信していた記事を取り上げます


悪者がどんどん味方になっていく日本のアニメはやはり中国アニメより1段上だった
中国メディア・今日頭条は4日、「この点から見える、中国アニメと日本アニメの差」と題した記事を掲載した。記事は、日本のアニメが制作、声優、ストーリーや人物の構成といった部分で中国アニメよりも優れているとしたうえで「今日は、善人と悪役にかんする日本アニメと中国アニメの違いについて説明したい」と伝えた。
そして中国のアニメでは「悪人は永遠に悪人であり、悪人のレッテルを張られ続ける」と紹介。一方で「日本のアニメでは、最初は悪人だと思っていたキャラクターが実は決して悪人ではないと思うようになる」と説明。その例として、中国でも人気の高いアニメである「NARUTO」と「ドラゴンボール」などの作品を挙げている。
記事はこの違いについて「中国アニメは各キャラクターに善人と悪人のいずれかを強制するレベルに留まっているのに対して、日本のアニメはそれぞれの登場人物が持つそれぞれの価値観を通じて、誰が正しくて誰が間違っているかを見る人に判断させるのだ」と論じた。
さらに「この点において、日本アニメはよりリアリティを持っている。真実の世界でも、善人と悪人を区別することはとても難しい。人に考えさせる日本アニメは、中国アニメより一段上のレベルなのである」としている。
「善人と悪人を区別することは難しい」という言葉は、まさに政治や外交に当てはまると言えそうだ。善と悪の判断を教えることは大切だが、善が時として悪に変わり、悪が善になりうることも知っておき、単純な事象から善悪の二項対立で考えないよう教えることも必要だろう。


中国のアニメでは、主人公は最初からヒーローであり、正義という立場で登場する場合がほとんどであり、例えば「NARUTO」のように未熟な落ちこぼれとして登場したりはしません
そしてヒーローが悪を懲らしめ、正義を示すという単純な勧善懲悪が基本になります
日本の場合、悪役がその後味方に加わるという捻った展開がしばしば見られるのは記事のとおりです。が、決して「善人か悪人か区別するのは難しい」との理屈からだけではなく、未熟で甘さの目立つ主人公よりも悪役の方がキャラが立っており、物語に深みと彩り、奥行きを加えるのに便利だからでしょう
甘くて幼稚で、単純なものの見方しかできない少年時代のナルトだけでは、退屈なストーリー展開にしかなりません。そこにサスケやガーラなどのキャラを織り交ぜることで話が広がり、深みが増す…と
むしろ、そうではないゆえに中国アニメは物語に奥行きも陰りもなく、ストーリーが平板で深みを欠くと考えます
長年、日本のアニメに接していながら、上記の記事のような浅い理解しかできないところに中国の限界がある、と言えます
記事では、「善悪の二項対立で考えないよう教えることも必要だろう」と書かれているのはサーチナの編集者のコメントでしょうか?
どこまでが元記事なのか、どこからがサーチナのコメントなのか、判別がつかないのは毎度のことですが
外交に例えるのならば「中国はいつも正義であり、その他は悪」とするのが中国政府のやり方であり、善悪の二項対立にとことん執着しています。そんな図式でしか外交ができないのであり、中国の限界でもあるわけです

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