宮崎勤死刑囚の嘘と偽装 ネズミ人間は思いつきか

連続幼女誘拐殺人事件で平成20年に死刑が執行された宮崎勤について、逮捕当時の取り調べにおいては、「ネズミ人間が出てきた」とか、「覚めない夢の中でやったような感じ」などといった供述はなかったと、と明かす記事を産経新聞が書いています
さまざまな関係者に取材した結果、とあるのですが、なぜ今になってそのような取材を行ったのか不可解ながら、記事の中身を考えてみましょう


宮崎元死刑囚 浮かぶ狡猾さ 「偽装で頭いっぱい」「自分かわいかった」 幼女連続誘拐殺人事件
東京・埼玉幼女連続誘拐殺人事件の宮崎勤元死刑囚=平成20年に死刑執行、当時(45)の取り調べ時の詳細なやりとりが6日、判明した。裁判記録や複数の関係者への取材をもとに当時の状況を再現すると、公判での特異な言動と異なり、偽装や逡巡など狡猾な人物像が浮かんだ。
宮崎元死刑囚は女児の裸の写真を撮影しており、動機はわいせつ目的が疑われていた。
取調官は「性癖を満足させるための誘拐じゃないのか」と尋ねる。これには「それは違います」と否定する。
では動機は何か。「なんで違うんだ。説明して」「あくまで理性として、かわいがりたい。そばに置く間は自分の子供であると…」と、理性があっての犯行だと主張する。「なんで自分の子供が欲しいんだ」「相手にされないから」。大人の女性からは拒絶されていることを示唆する。
「女性に相手にされないってことは」と促すと、「子供ができないってこと」と、子供が欲しいことを強調。「自分で子供を持ちたいと思っているのか」の問いに、「はい」と言い切った。
(中略)
犯行声明や告白文で使用した「所沢市 今田勇子」の意味は何だったのか。当時、宮崎元死刑囚は東京都内に住んでいた。「今田勇子って何だ。どっからヒントを得た」「実在しないから」「何から見つけてとったの」「見つけてませんよ。考えただけですよ」
「自分で考えたの」「うん」
だが、どこかにヒントがあるはずだと疑う。「どっかの雑誌かなんかでみたのでは」「本当です。ありきたりな名前にしたんですよ」。あくまで空想の思いつきだったと主張する。
(後略)


今になってなぜ、警察関係者がこうした話をするのか、不可解に思います
想像するに初期の取り調べで宮崎勤のさまざまな供述を引き出し、立件に向けて努力
したのに、その後の公判で宮崎勤がまるで精神異常者であるがごとく振る舞い、責任能力がないかのように偽装したことへの怒りと不満がくすぶり続けていたのかもしれません
さらに公判廷の宮崎勤の言動だけを切り取って「異常な殺人者」に祭り上げるメディアに対し、何を言ってるんだとの思いもあったのでしょう
もちろん、どこまでが宮崎勤の偽装であったのかは確かめるすべはありません
初期の供述がすべて正しかった、と解釈するのも危険です
通常、警察官は供述を引き出すためさまざまな誘導をするのですから、警察の描いた図式に則り宮崎勤が語った可能性も否定できないのです
しかしながら、「ネズミ人間など、後付けの思いつきにすぎない」との印象を抱いていた自分としては、「ああ、そうだったのか」と腑に落ちるところがあります
この事件のルポルタージュを書いた吉岡忍はネズミ人間に執着し、その存在を真正面から問うべきだと述べていましたし、「宮崎の犯罪を生んだ時代精神こそ問われるべきだ」と裁判官を批判していました
オタクやロリコンなどサブカルチャーがこの事件を生み出したと主張する吉岡にすれば、そうした時代精神にまったく言及しない裁判官がバカに見えたのでしょう
おそらく警察関係者は、「何を言ってるんだ、こいつは」と思ったわけですが
また、宮崎勤を巡って行われたいくつもの精神鑑定も、見直し検討する必要があるのでしょう。宮崎の偽装を見破れなかった精神科医を揶揄するのではなく、宮崎がいかに異常者を装ったかを読み解くためにも
1989年の逮捕から随分と時間が経過しているのですが、まだまだこの事件は語り尽くされていない、と感じた次第です
長くなりましたので、続きは後日書きます

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