「日本アニメが中国製に負ける日」と書く陳腐なコラム

中国で作られるアニメのクオリティが飛躍的に向上している、との指摘はありますが、日本のアニメファンを唸らせるような傑作はまだ目にしていません
日本のアニメ制作会社と共同で作業したり、日本人クリエイターをスカウトするなど貪欲なまでに前へ進もうと努めているのは確かでしょうが、それでも埋められないものがあります
さて、記事のタイトルにあるように、「日本のアニメが中国製に負ける日」と題するコラムを見つけましたので取り上げます
ただし、掲載元は講談社の「ゲンダイ」なので、コラムの質が限りなく低いのは予想できるのであり、中身はタイトル詐欺みたいなスカスカの駄文です


日本のアニメが中国製に負ける日~中国で一番有名な日本人が警告
「中国のアニメが日本を5〜10年で追い抜く」、「アニメ産業に携わる人達全てが海外に目を向けないとマジでやばいと凹んだ中国視察でした。」と、中国を視察した人気アニメ「けものフレンズ」のプロデューサー福原慶匡さんがツイッターで発言し話題となりました。
ネット上では賛否両論飛び交いましたが、これは実際に起こり得ます。というのも、近年ファーウェイの日本での技術者獲得に見られるように、優秀な人材は中国からより良い条件提示を受け、所属を中国企業に変えながら仕事をするようになるだろうからです。
そして、気が付いたら日本のクリエイティブが空洞化している……というシナリオは十分予想できます。
近年、中国はIT分野での成長が目覚ましく、日本でも電子マネーやシェアサイクル、無人バスなど様々なものが取り上げられています。
(中略)
さて自己紹介が遅れました。私はネット動画を作っている山下智博と申します。2013年から中国で動画を作り始め、作った動画の再生回数は10億回を超え、ありがたいことに「中国で一番有名な外国人ネットタレント」という名誉ある立場で、中国で活動させていただいています。
(中略)
アニメは現在中国のネットプラットフォームに版権を販売したり制作委員会に中国企業を入れたりして中国との関係性を作っていますが、あくまでも日本向けに作られたものを中国でも流す、という図式です。
一番は中国の若者が主人公で、彼らの見知った場所が舞台で、彼らの悩みや心のモヤモヤをテーマにするようなオリジナル作品を日本クオリティで作れればその作品は大きなマイルストーンになる確率が高いです。
恐らくただ中国声優を使うだけ、などのささやかなコラボでは、結果として大きなインパクトを残せないかな、という懸念もあります。
ただ、例えば中国で人気の中国人声優が日本でしっかり評価されて日本の声優界に進出! なんてことが起こってくると、また違った状況が見えてくる可能性があります。
あとはどうやってそのプロジェクトを実現するか、という「プロデューサー不在」の問題です。現地のプラットフォームの上層部としっかりつながって、双方の意見を汲み取り、制作環境を整えるという大仕事が待っています。言うが易しとはこのことで、国際プロデューサーを務めるのは相当タフな仕事です。
プロデューサー不在を嘆いても仕方ないと思い、実はいま、その役割を担うべく一つ大きな挑戦をしています。それは、アニメではなく僕の得意なバラエティ番組で、現地のプラットフォームと共同制作するというプロジェクトです。
簡単に言うと、僕が中国人の出演者を中国側の要望を加味した上でキャスティングして全体の企画を策定、日本の人気番組を手がけたことのある制作チームが制作を担当、共同で全体のディレクションをしながら、全編中国語の日本の旅行バラエティ番組を作り、中国内のプラットフォームでしっかりプッシュする、という座組です。
(以下、略)


論評するのもバカバカしくなるくらいの、スカスカな内容です。まるで頭の悪いユーチューバーみたいな発言であり、自分が何やら有能なプロデューサーにでもなった気分で書いているのでしょう
タイトルのように、少しは中国のアニメーション事情について踏み込んだ見聞があるかと思って最後まで読んだのですが…
時間を無駄にした悔しさから、当ブログで取り上げようと思い立ちました
CGを利用した動画の作成など、技術面では中国も世界の最先端を走っているとしても、それだけで視聴者を感動させたり、繰り返し見たくなるようなアニメを作れたりはしません。山下智博は根本的な問題が分かっていないのでしょう
日本で「AKIRA」や「攻殻機動隊」が作られたのは、動画の作成技術が現代より劣っていた時代であり、それでもあれだけの表現を獲得し、視聴者にインパクトを与えることができたのです。政治や社会のタブーに切り込み、より斬新でエキセントリックなほど尖った表現を追及したからこそ、際立った物語を構築できたと言えます
日本の人気漫画を山下智博がプロデュースして、中国人に馴染むよう現地化したらウケるのでしょうか?
オレ様を間に介せば中国でのビジネスは成功間違いなし、と言いたいうような
残念ながら中国では検閲制度があり、アニメーションといえども表現にはさまざまな制約が課せられます
つまり中国では、「政治や社会のタブーに切り込み、より斬新でエキセントリックなほど尖った表現」を許さないのであり、凡庸で退屈なアニメしか作れないのです
ですから、5年後だろうが10年後だろうが、中国アニメは日本に追いつけないと断言できます。麻生太郎がかつて、「表現の自由がない中国におもろしい漫画やアニメは作れない」と看破とおりです

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