岩井圭也「永遠についての証明」

数学に関する物語を読むのが好きで、これまで何冊も手にしてきました。その中でももっとも面白いと感じたのが、岩井圭也の小説「永遠についての証明」です
数学の若き天才と目される人物が、研究と狂気の間で苦悩する…というのが数学に関する物語の定番ストーリーで、この作品も例に漏れません
しかし、そうしたお約束の展開を踏襲しつつ、物語は青春らしい速度をもって展開し、飽きさせません
読後感を言うなら、村上春樹の「海辺のカフカ」に似ています
比較の対象としてあまり適切とは思えないのですが、アメリカの天才数学者ジョン・ナッシュを主人公にしたシルビィア・ナサー著「ビューティフル・マインド 天才数学者の絶望と奇跡」を例に挙げ、語ろうと思います
ジョン・ナッシュは「非協力ゲームの均衡の分析に関する理論の開拓」でノーベル経済学賞を受賞した数学者として知られるのですが、研究者としての脂の乗った時期に統合失調症を患い、「悲運の天才」と呼ばれました。
驚くべきことに、彼の理論である「ナッシュ均衡」は博士課程在学時にまとめられたもので、22歳当時の業績です
シルビィア・ナサーの本は数多くの数学者の取材し、ナッシュに関する膨大なエピソードを掘り起こしているのですが、それがかえって散漫でとりとめもないおしゃべりのような印象を与え、ナッシュの実像を曖昧なものにしています
逆に「永遠についての証明」は登場人物をぎりぎりまで絞り、主人公とその友人2人の濃淡のある関係性の上に、物語を浮き立たせています
作者岩井圭也はこの作品がデビュー作のようですが、躍動感のある描写は新人らしからぬものがあり、数学の予備知識のない人でも十分に楽しめる物語になっています
数学の世界とそこに生きる若者の姿をこれほど見事に描いた小説を、自分は初めて読みました
関心のある方は一度、手に取ってください

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